(448)しまなみ海道を走り、とびしま海道を走り~御手洗の町並みとRapha~

海を見ながらクランクを回し、「眺めがいいな」と感じたところで足を着く。
別に脚が痛いとか、体力的に厳しく休憩したいわけではない。
ただただ写真を撮りたいだけ。
で、スマートフォンをバックポケットから取り出し、海に向かって構えていると、Sさん(40代 男性 同行者)が俺の横を走り抜けた。
写真を撮り終え、また海を見ながらクランクを回していると、写真を撮っているSさんを追い抜く。
同じパターンを数回繰り返した後、合流して意思の疎通。
「この後、御手洗地区に寄りましょうね」と。

出発前から「寄りたいところがあれば言って下さいね」とSさんに言われていたが、俺としては寄り道無しでゴールに進みたいので意見しないつもりでいた。
ただ、御手洗地区だけは別。
大崎下島にある昔の港町で、江戸時代、明治、大正の古い町並み、中には昭和初期のレトロな建物も残っている(らしい)御手洗地区を自分の目で確かめたい。

「ここら辺と思うんですけどね」。
Sさんを先頭にゆっくり走っていると、海沿いの道に案内図が見えた。
細い路地で構成された小さな町だが、あっちこっちに想像力を沸き立たせる、古い建物があるようだ。
「なるほど。真っ直ぐ進んで2つ目の角を左に曲がって、あっち行ってこっち行って」と自分なりに計画を立てていると、「自由行動にしましょう」とSさん。
「見終わったら、灯台で待ち合わせましょう」。
「はい」。
案内図の近くにはサイクルラックがあったが、お互いロードバイクを押して歩き始めた。

板の外壁と白壁が囲む路地。
独特の雰囲気の中を歩くSさん。
そのSさんを後ろから見る俺。
「この景色にジャージの黄色が際立ってるよな」。
「それにしても、俺の知ってる範囲でRaphaのジャージを着てる人ってSさんだけやわ」。
「あんまり金の話はせえへんけど、実はめっちゃ金持ちやったりしてな」。
そんなことを考えながら歩いていると、Sさんが消えた。
どこかの角を曲がったのか。

ゲゲゲの鬼太郎の歌を歌いながら、手を繋いで歩く若いカップルとすれ違う。
はたから見て、「なぜ鬼太郎?歌ってて楽しい?」だが、まぁ、本人たちは楽しいのだろう。
俺は何も歌わずひとり寂しく歩く。
と、「史跡?何や?」。
そこそこ大きな木造の建物なので、「芝居小屋?」と思ったが、「若胡子屋跡」と。
何やら、かつて遊郭として使われた建物らしい。
「ちょっと中に入ってみたいな」。
しかし、ロードが邪魔だ。
仕方がないので、手で暖簾を少し上げ、首を伸ばして中を観察。
何かの資料が置いてるように見えたが、薄暗くてよくわからなかった。

「そこそこ歩き回ったな」。
御手洗地区の景色をそれなりに堪能できたと思う。
と言うわけで、Sさんとの待ち合わせ場所、灯台に向かわなければ。
古びた町並みから、海沿いの道路に出てサドルに跨がる。
左手に海を見ながらクランクを回していると、「あ、あれやな」。
灯台にロードバイクを立て掛け、写真を撮っている黄色のジャージの人が見えた。

つづく

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