(449)しまなみ海道を走り、とびしま海道を走り~俺はアホと実感~

御手洗地区を観光した後、大崎下島の南側、海沿いのコースを走る。
車はほぼ走っていない。
信号も無い。
たまに車道の隅で釣りをしている人たちがいたので、気を使って徐行して進んだが、「まぁ、走りやすいな」。
「概ね、走りやすいな」。
そんな調子でクランクを回す。

ゴーゴーゴーゴー。
Racing Zero Niteの発する音が心地好い。
と、道の隅にロードバイクを止めて写真を摂るSさんを見掛け、「先に行きますよ」と心の中で声を掛けて過ぎ去る。
海も山も綺麗で、どこにいても景色にうっとりしてしまう環境だ。
俺も走るのはやめてのんびりとする。
「次の橋はあれやな」。
スマートフォンでカメラを立ち上げた。

走っては止まり、走っては止まりを繰り返して30分ほど。
Sさんと合流し、豊浜大橋の入口へ向けて登る。
俺は「速く登りたい」よりも、「遅くても一歩一歩、確実に登って行きたい」と思い脚を回した。
ハァハァ言いながら。
前に目をやると、Sさんが随分と先に見える。

豊浜大橋を渡り、豊島に突入。
また南側の海沿いルートを選択し、Sさんと俺はバラバラに走った。
適当に走って適当に休憩し、20分ほどで次の橋へ。
豊島大橋。

橋の入口まで一直線の登り。
「もうええって」。
「長いねん」。
「しつこい登りやな」。
しまなみ海道にしても、このとびしま海道にしても、次の島に渡るには橋を利用する。
山の中腹から次の島の山の中腹まで設置されている橋を渡るのだ。
と言うわけで、橋を渡るには、当然、山の中腹にある橋の入口まで登らなくてはならない。
が、しまなみ海道は負担を感じさせない登りを設定してくれているのに、とびしま海道、特に豊島大橋の入口までの登りは、嫌がらせとしか思えなかった。

「ハァハァ…」。
入口にたどり着き橋を渡り始めたが、Sさんの姿は見えない。
かなり先に進んだようだ。
「こんなはずじゃなかったんやけどなぁ…」。
「俺の予定では、疲れる登りは無いはずやってんけど」。
かなりの汗が流れ、さらに鼻炎のせいか呼吸困難。
息も乱れている。
「最悪やわぁ」と思いながらクランクを回していると、橋を渡りきったところでSさん発見。
俺を待ってくれていた。

「お疲れ様です」。
「お疲れ様です」。
「この先なんですけどね」とSさん。
基本、ルートの確認はSさんに丸投げしている(俺は甘えさせてもらっている)。
「この先、下道へのルートが無いみたいで、このトンネルをくぐらないといけないんですよ」。
「じゃあ、このままトンネルを進みましょう。ライト付けてます?」。
「いやぁ、夜の装備を用意してないんですよ…」とSさん。
「じゃあ、俺はライトあるんで、このまま前を走りますから付いてきて下さい」。
「あの、このままはちょっと。トンネルの左側には歩道が無いので、右側に渡り歩道を進みましょう」。
Sさんに提案され、向こう岸(道路の右側)に渡りトンネルを進む。

クランクを回しながら、俺は肝を冷やす。
「いったい、何やねん…?このトンネルは…」。
俺のフロントライトはVolt400。
それなりに高性能なライトのはず。
なのだが、まったく前が見えない。
路面に薄明かりを確認することはできるのだが、何かぼんやりした感じで、2m、3m先など把握できない。
「え…?どういうことや…」。
「ほんまに前が見えへん…」。
しばらく進んで気付く。
アイウェアを掛けたままトンネルを走る俺はアホだった。

つづく

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