(453)しまなみ海道を走り、とびしま海道を走り~広島駅での苛立ち~

帰りの新幹線に乗るため広島駅に行きたい。
なるべく早く着いて、ビールを飲みながらお好み焼きを食いたい。
仁方駅から電車に乗って、広島駅に出よう。
そう予定していたが、仁方駅に止まる電車の本数が少なすぎるため、隣の広駅(広島駅ではない)までクランクを回した。
距離としては4~5㎞程度だったと思う。
広駅に着いて、「次の広島行きの電車は何時かな?」と調べたところ、「あぁ!?10分も無いやんけ!」。
短時間でロードバイクを輪行バッグに収納し、切符を買って電車に乗り込まないといけない。
しかも、広島行きのホームにたどり着くには、階段の上り下りが待ち受けている。
輪行バッグを担いだ上で…だ。
「クソ…」。

俺もSさんも大慌てで作業に取り掛かり、走る。
上る。
下りる。
そして、なんとか最後尾の車両に乗り込み、「耐えた…」。
この日、一番体力を消耗したかも知れない。
でもいい。
「電車に乗ったからには、よっぽどのことが無い限り時間が見込める」。
そう思ってほっとした。

「krmさん、座って下さいよ。輪行バッグは僕が見ておきますから」。
車両の一番後ろの壁に輪行バッグを立て掛け、ぼんやり立っている俺にSさんが声を掛けてくれた。
有り難い。
車内はガラガラだったので、適当な席に座り「広島駅までの50分ほどの間、ゆっくり寝よ」。
目を閉じてしばらくすると、「バターン!」。
電車の揺れのせいで、輪行バッグが倒れた。
「手すりとバッグを紐で縛ってなかった俺は迂闊やった…」。
「カーボンフレーム、ポキッといったかも…」。
溜め息しか出ない。
「はぁ…」。
輪行バッグを起こし、また壁に立て掛け、倒れないよう俺も脇に立ったまま広島駅までの時間を過ごす。
途中、「これで手すりと輪行バッグを縛って下さい」と、Sさんが俺にチューブを手渡さそうとしたが(お気遣いは嬉しい)、「結構です。こけへんように近くで立って見守ってますんで」。
ちなみに、帰る途中で確認したところ、倒れた際に打ち所が悪かったのか、前輪がパンク。
タイヤに穴。
フレームにおいては、塗装が剥げた部分を発見。
ほんま、テンション下がりましたわ。

広島駅に着き、「輪行バッグは手荷物一時預り所に持って行きましょう。それからお好み焼き屋へ」。
Sさんにそう伝え、ネットで調べた預り所に向かった。
が、無い。
ロッカーはあるが預り所の受付など無い。
「どういうことやねん?」。
「一番でかいロッカーでも輪行バッグは入れへんで」。
仕方がないので、改札の駅員さんに尋ねてみる。
若い女性の方。
で、彼女が言うには「場所が変わりました」と。
「今は駅構内でもどこそこのあそこです」と。
広島駅を頻繁に利用しない俺としては、検討もつかない。
「えと、わからないです…」。
「では、案内します」。
移転した預り所の近くまで連れていってもらい、「この階段を降りて右側です」と。
「わざわざ有難うございます」。
俺は頭を下げて感謝したのだが、言われた場所に行き無人のカウンターに目をやると、「コロナの影響でなんたらかんたら」。
閉まっていた…。
「親切なのは嬉しいけど…、結果的に…まぁまぁ迷惑やで…これ」。

気を取り直して、近くの旅行代理店に足を運ぶ。
ネットで調べたところ、荷物を預かってくれるサービスをしているそうだ。
が、店内は込み合っていて、店員と話す機会すらない雰囲気。
「もうええわ」。
疲れもあったのだろう。
俺は開き直った。
「お好み焼きを食うために必死こくのもアホらしいわ」と。

「Sさん、輪行バッグも他の荷物と俺が見張っておきますので、ひとりでお好み焼きを食べに行って下さい」。
一応、俺も40過ぎ。
ある程度、自分の感情をコントロールできる自信はあったが、この時ばかりは「アホくさ」。
「広島のお好み焼きとは縁が無い」と割り切り、投げやりになった。
「はい。では、行ってきます」。
駅構内の案内図を見た後、Sさんは荷物を置いてお好み焼き屋に向かった。
俺は、駅の北口で退屈な景色を1時間ほど見る。

つづく

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