(454)しまなみ海道を走り、とびしま海道を走り~むすびのむさしへ~

広島駅の北口。
輪行バッグやバックパックを見張りながらSさんの帰りを待つ。
「今頃、Sさんはお好み焼き屋でビール飲んでるんかなぁ」。
そんなことを考えながら、バスやタクシーが出入りしているロータリーをぼんやり眺めていると、「お待たせしました」。
Sさんが戻ってきた。

「お好み焼き、どうでした?自分は行ったことがないのですが、『みっちゃん』という有名なお店が駅の中にもあるそうですね」。
「『みっちゃん』には入りませんでした。混んでたので。他に空いてる店があったので、そこに入りました」。
そう答えるSさんの顔を見て、「めっちゃ満たされてる感じ」。
「空いてる店って言うても、旨かったんやろなぁ」。

「まだ新幹線の時間まで少し余裕があるので、krmさんも行ってみればどうですか?荷物は僕が見張ってますよ」。
Sさんのお言葉に甘え、小走りで駅の1階へ。
スマートフォンで時間を確認すると、ゆっくりお好み焼きを食ってる時間までは無さそうだ。
「駅弁を買って新幹線の中で食おう」。
そんなことを考えていると、「あぁ、ここか。お好み焼きの名店街やな」。

「それはそうと…だ」。
「俺にとって、ここからが本番」。
自然とそんな気持ちになって1軒の店を探した。
去年、広島市内で1泊した時も食べてみたかったが、時間の関係で買えなかったもの。
むすびむさしの弁当だ。

いい加減な記憶ではあるが、「球場のグルメ」とかなんとかの記事でむすびのむさしを知った。
「ほう。おにぎりの弁当屋がマツダスタジアムにあるんかぁ」。
コンビニのおにぎりはあまり好きではないが、おにぎり専門店のおにぎりには興味がある。
さらにネットで調べてみると、球場以外にも広島市内に数店舗あるではないか。
「いつか行ってみたいなぁ」と思い、ついにその機会が訪れた。
広島駅の駅弁売場にあるむすびむさしに行くのだ。

で、あっさり見付けた。
店内で飲食もできるし、駅弁コーナーもある。
ただ、駅弁コーナーの前で2組の家族が広がって世間話をしている。
注文した弁当を待っているようだ。
俺としては、注文しようにも彼らが邪魔だし、そもそも列がぐちゃぐちゃなのでどう並んでいいのかもわからない。
「あぁ、最悪やわぁ」。
「周りが見えへん人って、どこにでもおるんやなぁ」。
そう諦め、少し距離を開けて待っていると、若いお父さんが俺に気付いてくれた。
弁当の受け取りをお母さんに委ね、子供とお父さんは窓口から少し離れる。
もう1組の家族は、狭い窓口に張り付いてたけどね。
注文が終わってるのに、1袋に入れた4人前の弁当を受け取るため、4人が窓口に張り付く意味がわからない。
「代表者1人おったらええやんけ…」。

しばらく待ち、俺の番が回ってきた。
「安芸むすび、ひとつください」。
俵むすび4つと、白身フライや唐揚げなどのおかずも充実した豪華な弁当(確か1,000円)。
精算を済ませ、「ええ買い物したわ」と満足感に浸りながらSさんの元に戻る。

「駅弁買ってきましたわ。そろそろ改札入りましょか?」。
クソ重たいバックパックと輪行バッグを担ぎ、2階の改札へ。
「あの、もみじまんじゅうをお土産に買って帰ろうかと思うんですが、土産物売場に寄っていいですか?」とSさん。
「あぁ、改札入っても土産物なんて売ってると思いますよ。とりあえず上がりましょう」。
適当にそう答えたが、改札をくぐったところ、コロナの影響で土産物屋は閉鎖、閉店。
「ええ加減なこと言ってもうたわぁ…」と、Sさんに対し申し訳ない気持ちになった。

つづく

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