(465)ロードの旅 ビワイチ編~更に不安を覚える~

琵琶湖の東側を北に進む。
Sさん(同行者)と守山駅で集合した後、約30㎞走り東近江市に入った。
ペースとしては順調だが、路面に目をやり、空を見上げるたび、不安を覚える。
「そのうち、スリップするんちゃうか?」と。

前日の夜、ホテルで寝ている間、雨が降っていたのは把握している。
路面が濡れていることも、小雨が降っていることも承知の上で走り出した。
が、少し進めば路面が乾き、雨が止む。
「天候に恵まれへんのは覚悟してたけど、意外と回復してくれそうやな」。
期待を抱きクランクを回すと、小雨がまた降り出し路面が湿る。
「おいおい。このまま晴れてくれそうやなと思ったら、雨…。晴れてくれそうやなと思ったら雨…。何回繰り返してるんや?」。
「勘弁してくれよ」。
「あ、ちょっと待てよ。何か、俺らの後ろを雨雲がついてきてる気がするんやけど…」。
「気のせいか?」。
この後、コンビニ休憩の際にSさんも同じ感想を口にしていた。
「雨雲が追い掛けてきてますね」と。

彦根市に入る。
ほんのちょっと信号が増えた気もしたが、大阪や神戸の基準では十分走りやすい環境。
ビワイチの有り難みを感じながらクランクを回す。
と、山の上に櫓が見えた。
「おぉ、彦根城や」。
彦根城には、今まで2度訪れている。
歴史の重みを感じる、急な階段を備えたこじんまりした天守。
変に歴史博物館っぽくない点が、味わい深くて良い。
まぁ、天守の形状としては俺の好みではないが、それはそれとして、ひこにゃんはかわいい(以前、ぬいぐるみを買った)。
「駅側からじゃなく、裏側を目にするんは初めてやな」。
「なかなかええアングルやな」。
信号待ちの間、妙に看取れてしまい、ビワイチの真っ最中であることを忘れそうになった。

引き続き、湖畔を北に進む。
「最悪や…」。
さっきまで乾きつつあった路面がまた湿り、小雨が本降りに。
「とことん追い掛けてくるよなぁ」。
うんざりしながらもクランクを回す。
間も無く、彦根から米原だ。
人生において米原を訪れた経験は無いに等しいが(通り過ぎた程度)、JRの駅で電車を待っていると、「新快速 米原方面行き」というアナウンスをよく耳にするので親近感がある。

どこにでもある郊外の道を進み、歩行者がいないことを確認し、歩道を我が物顔で走る。
と、「痛っ」。
右目に何かが当たった。
大粒の雨なのか、カナブンサイズの虫なのかわからないが、何かが当たった。
「目は守らなあかんな」と、サコッシュからアイウェアを取り出す。
これが良くない判断だったと、後になって気付く。

それまで真っ直ぐだった歩道が左へのカーブ。
路面は雨に濡れている。
「曲がる前に、ちょっとスピードを落とそか」。
ブレーキレバーを握った次の瞬間、30cmほど先に路面が見えた。
「このアングルで路面が見えたということは…」。
「あぁ、俺は転倒したんか」。
「この後、すぐに俺は痛い目に合う」。
「今さらジタバタしてもあかんな」。
「なるべく軽傷であることを祈って、身を任せるしかないわ」。
否応なしに、一瞬で覚悟を決めなくてはならない俺。

つづく

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