(467)ロードの旅 ビワイチ編~心も体もスぺスぺの俺~

長浜市に入った後も小雨は続く。
ロードバイクは泥だらけ、ジャージは雨でグショグショ。
路面のコンディションも悪く、スリップして転倒するし、「ほんま、たまったもんじゃないよな」。
そう思いながらクランクを回した。

「痛いわぁ…」。
転倒した際、無意識のうちに右手をついたのだろう。
手の甲の擦り傷は把握していたが、手の平を確認すると内出血。
また、もう一度手の甲を凝視したところ、「めっちゃ腫れてるやん…」。
「それでか…」。
ブレーキレバーを引くたび、右手に激痛が走る理由を理解できた。
更に、どういうわけか右胸も痛い。

脚を止め、Sさん(同行者 このブログを読んでくれている心優しい人 三重県在住 40代 男性)に伝える。
「あの、右手が負傷してまして、ブレーキ掛けるんきついんですわ…」。
「じゃあ、やっぱりここで中止にしましょうか?」。
いやいや、そういうわけにもいかない。
Sさんは早朝に家を出て、電車を乗り継いでわざわざ守山まで来てくれたのだ。
50㎞ちょっと走った程度で中止…は申し訳無い。
また、俺は俺で、ホテルを2泊分予約してまでビワイチに挑んだ。
そこまでして中止…は無い。
が、最後まで走れる自信も…あまり無い。

「とりあえず、走れるところまで走ります。『これ以上無理』ってなったら、電車に乗って守山のホテルに戻りますので」。
「そうですか。無理はしないで下さいね」。
「はい。ただ、ちょっとね、条件付きで走りたいんですけど」。
「何でしょう?」。
「右手が死んでるので、右ブレーキをとっさに掛けるのが難しい状況でして」。
「はい」。
「時速20㎞ぐらいじゃないと、止まる自信が無い感じでして…。それでもいいですかね?」。
「わかりました。いいですよ」。
まぁ、もともと俺の方から「平均時速25㎞で進みましょうよ。余裕っすよ。俺が引きますから」と申し出たくせに、結局足手まといに…。
申し訳無い限りです…。

右手を庇いつつクランクを回す。
雨は降ったり止んだりだが、常に路面は湿っている。
ブレーキレバーを引くのが怖い。
もう一度スリップして転倒するのが怖い。
「仮に2回目の転倒を経験した場合、精神が崩壊するのではないか…?」。
そんな気がする。

恐る恐る走ると、長浜城の天守が見えた。
形状としては好きなタイプだが、ひとつ文句を言わせてもらうと、「壁は黒い方がええで」。 
ちなみに、20年ほど前に訪問し「城じゃなくて歴史博物館やな。新築マンションって雰囲気やで」。
そんな印象が残っている。

小雨の中、更に北へ。
「右手があかんから、どうせスピード出されへんし」と、歩道を走り続ける。
まぁ、歩行者はまったく見掛けなかったし信号も少なかったが、所々でブレーキを掛ける必要があり、そのたびにいちいち激痛と向き合わなくてはならない。
「痛いよ…」。
「早く帰りたいよ…」。
弱音が口から出た。
とても自然に。

本当に嫌々走っているという感じ。
痛みのせいでサイクリングを楽しめない。
爽快感0。
「はぁ…。心がけっこう折れてきたよ…」。
「どっかのタイミングでリタイアしよか」。
「そういや、Sさんが『名物のサラダパンを食べたいです』言うてたな」。
「俺は沢庵が入ったパンって食う気せえへんけど、見たい気はする」。
「興味あるわ」。
「よし、パン屋がある木ノ本まで頑張ろかぁ」。
Sさんのおかげで、少しやる気が湧いてきた。

つづく

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