(489)ロードの旅 また来たビワイチ~公衆便所で豪雨をしのぐ~

「降ってきたかぁ…」。
おそらくだが、スタートしてまだ30㎞ぐらいしか走っていない。
これから先、最低でも120㎞以上、スリップしないよう神経質になりながら、雨に打たれてクランクを回すのか…。
想像しただけでも気が狂いそうだ。
「ここはひとつ、現実逃避やな」。
そう判断し、前を進むSさん(同行者 40代 男性)に声を掛けた。
「すみません。喉が渇いてきたんで、自販機があれば寄らせて下さい」と。
まぁ、ついさっきアクエリアスを飲んだし休憩もとったが、また何か飲みながら休憩している間に雨が止むかも知れない。

左手に公園が見えた。
「自販機、ありますよー」とSさん。
デカビタCのパチモノのようなジュースを買い、公衆便所の屋根の下で飲む。
と、ポツポツの雨がザーザーになり、さらに進化して滝のように。
「嘘やろ…。勘弁してくれよ…」。
「あかんは。これは、ほんまあかんわ。このレベルは想定してなかったわ…」。

悲惨すぎる現実を目の当たりにし、「あの、Sさん、どうします…?」。
「仕方ないですね。しばらくはここで待機しましょう」。
路面に激しく叩きつけられた大きな雨粒を見ていると、「うん。待機が正しい判断やな」。
納得。

前回のビワイチにおいても雨の中を走ったが、終盤の「暗い」+「雨」という最悪のコンディションはかなり堪えた。
今回は、せめて暗くなる前に走り終えたい。
暗くなる前に、進めるところまで進みたい。
が、走れる状況でも無さそうで…。

豪雨が降り止むのは何分後、何時間後になるかわからない。
「あぁ、どうやって時間を潰そか?」。
「Sさんとしりとりでもしよか」。
「いやぁ、盛り上がらんやろなぁ」。

Sさんとふたりで走るのは4回目になる。
このブログを読んでくれ、メールを送ってきてくれたことが切っ掛けとなり、今に至る。
わけだが、いつも笑顔で気さくに接してくれるSさんとは違い、俺はふて腐れた顔をして、まぁまぁ無口。
そう自覚している。
別に、不愉快だからではない(むしろ感謝することが多い)。
口数が少ないのは、単純に疲れているから。
暑さや疲労面で疲れている時もあるし、この時のように精神的に疲れている時もある。

「あぁ、ぼけっと雨が止むのを待つのもなんやし、どうでもええ話でもして時間を潰そうかぁ」。
「たまには、俺の方から話を振ってみよか」。
「喫茶店でカレー食ってて、ルーにゴキブリが入ってた話なんかどうやろ?」。
「サイクリング中に、空き缶満載の自転車に乗った薄汚いおっさんに恫喝された話もええかな」。
「ちょっと待てよ。こんな話、Sさん、喜んでくれるかな?」。
「いやぁ、どうでもよすぎて対応に困るやろな」。
「俺としても、わざわざ口に出すほどの話でもないような気がするわ…」。

とまぁ、そんなことを考えていると、30分ほど経過。
心なしか雨脚が弱まったように見えた。
「行けそうですね?」。
「行きましょか?」。

 つづく

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