(490)ロードの旅 また来たビワイチ~雨の中を走る心境~

雨は少々弱まったが、だからと言ってコンディションが良いわけではない。
まったく。
常に路面は濡れ、水しぶきを立てながら走る。

クランクを回しながら、前を行くSさん(同行者 40代 男性)の背中を見ていると、「走る姿勢もグラベルロードもタフやなぁ」と感じるが、俺は違う。
スリップが怖くてクランクを思い切り回せない。
精神面でスペスペ。
サイコンに目をやり、「時速20㎞をちょっと越えてるな。危険やからスピード落とそう」を繰り返し、Sさんにどんどん離されていった。

たまに信号があると、Sさんは俺を待ってくれている。
そこで追い付き、また離され。
「俺、完璧に足引っ張ってるよなぁ…」。
前回のビワイチにおいても、俺は雨の中で転倒、負傷して迷惑を掛けたが、今回はそのトラウマでスピードが出せない。
右手が痛くてブレーキレバーを引けない恐怖と向き合って走り続ける…。
そんな経験、二度としたくない。

恐る恐るクランクを回し続け、遠くに彦根城が見えた。
普段なら、城好きな俺としてはストレートに萌えるわけだが、いやいや。
気持ちに余裕が無い。
また、シューズもジャージも、そしてインナーパンツまで雨を吸い込み、全身びしょ濡れではテンションが上がらない。

仕方無く嫌々クランクを回す俺。
だが、「これはあかんな」と思った。
ふと、いつも俺を鳴門に連れて行ってくれるNさん(真鯛釣りをしに鳴門に行く人)の言葉を思い出したのだ。
「社会人が忙しい中、少ないながらも遊べる時間があれば存分に楽しみましょうよ」と。
まぁ、釣りについて語った言葉と思うが、ロードバイクも一緒。
現にSさんは有給休暇を取って今回のビワイチに挑み、楽しんでいるわけだし、俺もそうだ(仕事、めっちゃ暇やけどね)。
「ビワイチを心の底から楽しもう」。
何かを悟り達観した気分になって、小雨の中に佇む彦根城の写真を撮っていると、Sさんはサーっと走り去った。

Sさんに追い付こうとするが、途中途中にどうしても脚を止めてしまう。
写真を撮るために。
別に俺は写真家でもないし、特別こだわって写真を撮っているわけでもない。
ただ、帰ってから見ると、その時のことを思い出すから(辛いことが多い)、写真は撮っておきたい。
まぁ、どうでもいい写真もけっこう多いけどね。

少し進むとSさんが待っていた。
「信号でもないのに、何やろ?」と思いつつ近付くと、赤の路面。
「ここ、前回落車したとこやん…」。
嫌な思い出しか無い。

と、「この道は滑りますし、ちょっと進むとタイルの道になるので車道を走りましょう」。
ここまで、歩行者が0に近い歩道を走ってきた。
が、俺が路面に対して神経質なのをよくご存知なSさん。
さすが、この不人気ブログをチェックしてくれている人だ。
正直、感心したね。
こういう人と一緒に走りたかった。

「わかりました。車道、走りましょ」。
Sさんの心遣いに感謝し、また、前向きにもなれた。
彦根を通過し、次は米原だ。

つづく

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