(497)ロードの旅 また来たビワイチ~忘れ物~

映画やドラマを観ていると、残り時間を考えて「もう一山あるな」と予想する習性が俺にはある。
が、今回のビワイチは小雨の後、豪雨で晴れ、曇り。
そして、西浅井マキノ線のトンネルをくぐれば小雨。
「ゴールまで、あと何山あるねん?」だ。
うんざりする。

小雨の中を進む。
気のせいか、徐々に雨が強くなってきたような。
雨のしぶきが路面から浮き上がり、且つ、アイウェアに雨が打ち付けられて視界が悪い。
「まともに走ることができる状況ではない」とまではいかないが、「それなりに気を付けて走らなくてはならない状況」と感じる。

しばらく走り、「気のせいじゃない…」。
クランクを回しながら前輪のタイヤに目をやると、結構な水しぶきを上げているではないか。
俺の中で、爽快感に似た喜びが湧き出したが、「そんなもんに浸っている場合ちゃうやろ…?」。
冷静になって考えてみると、明らかにコンディションは悪い。
スリップして転倒、負傷パターンにはまる懸念がある。
2回連続は嫌だ。
ビワイチを走るたびに怪我するのは嫌だ。

路面にも真横を走る車にも気を付けて、慎重に慎重にクランクを回す。
遅いながらも確実に進む俺。
なのだが、どうも気掛かりなのがSさん(40代 男性 このブログを読む知性が高い人)。

今回のビワイチも前回のビワイチも、しまなみ海道やとびしま海道を走った時も、Sさんが前を走った時は要所要所で俺を待ってくれていた。
が、「おかしいな?長いこと俺ひとりで走ってるような」。
「Sさんはもっと先を走ってんのかな?」。
足を止めて、「電話で確認を取ろか」。
スマートフォンを手にすると、Sさんからメールが入っていた。
2通。

「雨が強すぎるので、ゴミ捨て場の軒下で待機しています」。
「あ、krmさん、今、通り過ぎましたね」。

なるほど。
Sさんは豪雨を避けようとゴミ集積所で雨宿りして俺を待っていたが、俺はそれに気付かず走り去ったと。
「そうやったんや…」。
「うん。すまん」。

気を取り直して電話をかけてみる。
と、降りしきる雨音と車の走行音のせいでSさんの声が聞き取れない。
「しゃあないなぁ。とりあえず言いたいことだけ言ってまおか」。
そう判断し、「自分は進行方向に向かってそのまま進み(戻るのが嫌だから)、雨宿りできそうなところがあればそこで待ってますので」。

道の両側に目をやり、雨宿りできそうな場所を探しながら走る。
しかし、一戸建ての家はぽつぽつと見掛けたが、軒下で勝手に雨宿りさせてもらうと警察を呼ばれる。
それは避けたい。
「はぁ…」。
溜め息を吐きながら脚を回していると、ファミリーマート発見。
耐えた。

雨を凌ぎつつ、Sさんにメール。
「自分は、ファミリーマート高木浜1丁目店の軒下で雨宿りしています」。
親切な俺はGoogleマップのURLまで送った。
後は豪雨が治まり、Sさんが来るのを待つだけだ。
が、ただただぼけっとするよりも、アメリカンドッグでも食って自分を癒したい。
ずぶ濡れで申し訳無いが、入店しよう。

ロードバイクを店の壁に立て掛け、サコッシュからOTTOLOCK(サイクルロック)を取り出して、ロードを固定し、盗難防止OK。
のはずが、「無い!」。
「ロック、持ってくんの忘れてもうた!」。
雨が降り止んでSさんが来るのを、ただ立ち尽くして待つしかない俺。

つづく

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