(499)ロードの旅 また来たビワイチ~傷心と不安~

ビワイチ後半戦。
琵琶湖大橋まで残り40㎞ほどか。
まぁ、たどり着いたところで、更に琵琶湖大橋を渡り守山のホテルに帰らなくてはならないので+10㎞ある。

「Sさん(同行者 40代 男性)、腹減ってません?」。
「え?」。
「もし良かったらですけど、吉野家か何かあれば寄りませんか?」。
「はぁ」。
「この薄汚い格好で店内飲食するとお店の人とかお客さんに迷惑なんで、テイクアウトで買って駐車場で食う。いかがでしょうか?」。
「はぁ」。
Sさんはあまり乗り気ではなさそうに見えたが、俺は無性に腹が減って仕方ない。
「ゴールが見えた」という心境、安心感が、俺の中で何か作用したのだろう。

「ゴールを目指して!」よりも、牛丼屋を目指して脚を回す。
目標を持った方が、張りがあって良い。
ただ、以前にもビワイチを経験しているで、しばらく牛丼屋どころか飲食店が無いことは最初からわかっていた。

交通量の少ない、自然豊かな湖畔の道が途切れた。
Sさんに従い先を進むと、近江高島駅周辺の町だろう。
低い建物が密集している。
飽くまでも印象だが、古くさい町並み。
「味があっていいよな」。
夕日の効果もあってか、ノスタルジックな雰囲気だ。
が、しかし、のんびり観光するわけにもいかず(日が暮れるまでにゴールしたい)、幅の狭い道路を進んでは曲がって進んでは曲がって。
そして、161号線に合流。

ここから、ちょっとした勝負どころだ。
161号線。
湖中に白髭神社の大鳥居が見え、観光スポットではある。
が、道がそれほど広くない割に交通量が多く、しかもびゅんびゅん飛ばしているので怖い。
「krmさん、先に行って下さい」。
Sさんがそう言った。
おそらく、「ここからは緊張感を持って走らなくてはならない区間なので、遅いグラベルロードの自分を無視して先に進んで下さい」という意味なのだろう。
「わかりました」。

真横を走り抜ける車に注意しながら、気合いを入れてクランクを回す。
道端が広くない分、路側帯も狭いので逃げるに逃げれられない。
「悪いな、Sさん。俺はこの恐怖から早くおさらばするよ」。
必死になって突き進むと、やがて路側帯が広くなり歩道まであるではないか。
「とりあえず逃げよ」。
車道の隅でブレーキを掛け、遅れてくるSさんを待つ…つもりでいたが、振り返ると真後ろにSさんがいた。
「舗装路でグラベルロードに追い付かれるって、俺、どんだけ遅いねん…?」。
なかなかのダメージを食らったが、傷付いたそぶりは見せず、「では、先に進みましょう」。

「今日の俺は、たまたま調子が悪いだけ」。
そう自分に言い聞かせながら走る。
と、信号が見えた。
「あぁ、ここからがまた面倒くさい道やな…」。

信号の手前で足を着き、Sさんとルートについて相談。
真っ直ぐ161号線を進むのはデンジャラス。
かと言って、161号線を回避しようとブルーラインに沿って右に曲がると、少しごちゃごちゃした道を走らなくてはならない。
正直、どっちも嫌だ。
「他に迂回路がありますよ」。
スマートフォンでマップを確認しているSさんがそう答えた。
「じゃあ、そのルートを採用しましょう」。
問題が解決したのは良いが、ひとつ気掛かりなのは空。
辺りは明らかに暗くなってきた。

つづく

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