(516)阪神尼崎ポタリング-1

「腹減ったな。サイクリングを兼ねて買い物に行こうか」。
「じゃあ、どこ行こ?」。
そんなことを考えた時、第一候補に上がるのは阪神尼崎。
三和商店街という庶民的な商店街があり、「安くて旨い店が盛り沢山」といった雰囲気を醸し出している。
俺がちょくちょく足を運ぶのは、ホルモン焼きの店。
あと、米屋が経営する弁当屋。
様々な具材を使ったキムチ屋。

サドルに股がりクランクを回す。
向かう先は三和商店街…なのだが、時間に余裕があるので周辺をぶらぶらしたい気もする。
「前に1回行ったけど、尼崎城をぼんやり眺めようか」。
国道2号線を走り、三和商店街を通り越して少し進むと、遠くに尼崎城が見えた。

右折。
「このまま真っ直ぐや。すぐに着くわ」。
川沿いの道を突き進む。
と、「うっわぁ。阪神電車の高架があるやんけ。邪魔やわ」。
普段、阪神電車を利用しているくせに、阪神に対して嫌悪感を抱く。
「とりあえず」と、高架下の短いトンネルをくぐろうとしたが、車がびゅんびゅんと出入りしている。
率直に「怖いわ」。
トンネルの脇にある歩行者用の階段が目に入ったが、ロードバイクを担いで上がるのも面倒だ。
「高架沿いにちょっと走ったら、向こう側に渡れるトンネルがあるやろ」。
軽い気持ちで東に向かった。

ちょっとした公園を横切り、東へ東へ。
住宅街を横切り、東へ東へ。
感覚を頼りに進んだのはよいが、「ここはどこやねん?」。
ちょっと不安になり、Googleマップで現在地を確認すると、スマートフォンの片隅に「大物(だいもつ)」の文字が見えた。
「大物って、尼の隣の駅やんけ!」。

無駄に走る羽目に陥り、自分の計画性の無さを痛感する。
計画性の無さ…。
これはサイクリングに限ったことではなく、自分の根元的な部分における欠陥ではないか?
深く深く、陰湿な気持ちで自分と向き合いながらクランクを回していると、「あっ」。
「このガード下からやったら向こう側に行けそうやな」。

後ろから車が迫ってくると、邪魔にならないよう端に寄って足を止める。
少し走って、また後ろから車が迫ってくると…を何度か繰り返しつつ、下町の路地をゆっくりゆっくり進んだ。
「そっれにしても、尼崎城はまだか?この辺りやと思うんやけど」。
近いようで遠く感じられる尼崎城。
「面倒くさいポタリングになってもうたよなぁ」。
脚も気持ちもだらけきったその時、空き地の向こうに尼崎城の天守閣が見えた。

つづく

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