(519)阪神尼崎ポタリング-4

寺町を経由し、商店街へ進む。
目指すは「国産牛ホルモン専門店 かごもと」さん。
ここはただの肉屋さんではなく、店先の鉄板でホルモンを焼いていおり、持ち帰りもできるし、店の横にある路地で立ち食いも可能。
「ホルモン焼きを持って帰って、家の近所のコンビニに寄って缶ビールを買って…。おぉ、いいねぇ」。
ウズウズしてきた。
しかし、時間が気になる。
「今、17時過ぎか…」。
お店の営業時間は18時まで。
18時には余裕で間に合うが、ホルモン焼きコーナーは30分ほど早く閉まるはず(俺の経験上)。

焦りを覚えつつサドルから降り、ハンドルを押しながらアーケードの下を早足で歩く。
と、「カツカツカツ…」。
足元に違和感。
音も気持ち的に引っ掛かる。
「何やろ?」。
「あ、忘れてたわ。クリートカバー、はめてないわぁ」。
一本足で立ちながらハンドルを片手で支え、もう片方の手でクリートカバーをはめたい。
が、商店街の中、お店の前でその作業に取り掛かるのは迷惑だ。
また、通行者にも悪い。
しばらくカツカツ鳴らして歩き、シャッターの閉まった店を見付けて、「ここでええわ」。
クリートカバー装着。

一安心だ。
引き続き、ハンドルを押して歩いていると、「あ、忘れてたわ!」。
時間とクリートカバーに神経が集中したため、マスクするのを忘れていた。
ジャージのバックポケットに手を伸ばし、マスクを取り出して装着。
「いやぁ、多くはないけどなぁ、一応、人通りがあるのにマスクしてなかったんはあかんな」。
「クリートカバーでテンパってて、周りが見えてなかったわぁ」。

またハンドルを押して歩きだそうとしたその時、真後ろから小さな声が聞こえた。
「やっと気付いたんか…」。
振り返ると爺。
「今言うたんは、こいつか…?」。
イラッとしたが我慢してホルモンのかごもとさんへ。
で、ホルモンコーナー、終わってた…。

気を取り直して、弁当屋の「弥次郎兵衛」さんに向かうと、ここも閉店の準備をしているように見えたが、女性の店員さんが俺に気付き「何にしましょう?」。
いつもなら窓口付近に作り置きの天むすがあるのだが、この日は見当たらない。
「あの、天むすは無いんですかね?」。
「よかったら今から作りますよ」。
「お願いします」。

家に帰って天むすを頬張る。
シンプルな天むすだが、米が美味い。
「いつ食っても満たされるわ」と幸福感に包まれる。
しかし、商店街にいた爺のことを思い出すとムカムカする。
このご時世にマスクをしていなかった俺に非がある。
それは頭では理解している。
ただ、爺が発した「やっと気付いたんか…」の音量が絶妙にムカつく。
また、マスクした後なのに「わざわざそのセリフ、必要か?」とも思う。
あぁ、またムカムカしてきた。

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