(531)ロードバイクに乗って淡路島を走る~デカルチャー~

10月下旬、午前4時台の淡路島。
走る前から感じていたが、「やっぱり寒いわ…」。
特に指先と二の腕。
痛みを伴う寒さ。
「俺、ほんまアホやなぁ」。
ウインドブレーカーを忘れたことに対し、反省するしかない。
また、何故か指切りグローブで挑んだことを心の底から後悔した。

スタート地点は、「岩屋」という淡路島の北端にある町。
島の東側を通る28号線に合流し、南に向けて走る…のだが、海が近いからか風も少し感じる。
ただでさえ寒いのに、風を受けるなんて災難だ。
自然に、「早く帰りたい…」と思った(1回目)。

寒さに耐えながらクランクを回したが、「あかんわ…」。
日が明けて気温が高くなる時間を計算したところ(根拠に乏しいが)、それまで走り続ける自信が湧いてこない。
微塵も。

「ならば…」とペース配分を考えず、脚を回しまくって体を温めるのが得策なのかも知れない。
脳内にいるもうひとりの自分と対話する。
「最初の山まで約40㎞。それまで脚を休めておきたいけど、どうやろう?」。
「下手に気合い入れて走ったら、山にたどり着く前に疲労が溜まる懸念があるよな」。
「でも、このまま寒さに苦しむのも嫌やわ。40㎞先のことよりも今のことを優先したいわ」。
「今のこと?アホか?今、必死に脚を回せるか?前を見ろよ、前を」。

28号線は街灯が少ない。
おそらく、道の両サイドにお店や家があるのだろう。
しかし、朝の4時台だ。
明かりが灯る店も家も少ない(と言うか、ほぼ無い)。
たまに明るさを感じるのは、俺の横を通り過ぎた車のテールライトと信号ぐらい。

「前、見えへん…」。
「下手にスピード上げるん怖いわ…」。
VOLT400が照らす範囲、2~3m先ははっきり見えるが、それより向こうは闇。
走り慣れたコースなら、車道のどこに亀裂があるか把握しているが、淡路島の道については熟知していない。
結局、寒さに耐えながら恐る恐るクランクを回して進んだ。

信号の下を通過するたびに一瞬だけ明るさを感じ、咄嗟にサイコンを見る。
ずっと景色が見えないため自分が時速何㎞で走っているのか把握できなかったが、サイコンウソツカナイ。
「なるほど」。
どうやら、俺は時速15㎞~20㎞で進んでいるようだ。
「めちゃめちゃ遅いやんけ!」。

「おい、この程度の速度でロードバイクに乗っている意味あるんか?」。
「安全第一やけど、限度ってもんがあるやろ!?」。
そんなことを自問自答しながらクランクを回していると、たまに「またスピード落ちたような…」、「何故か苦しい…」。
また、「急に脚が楽になったな」と感じることがあり、そのたびに不思議な気分になったが、後々考えてると、俺は細かいアップダウンを走っていたのだろう。
周りが暗すぎて、自分がどんな道を走っているのか認識できなかったのだ。

何度目かの不思議な疲労を感じ、「あぁ、早く帰りたい」(2回目)。
うんざりしつつも、やむをえず脚を回す。
と、暗闇に一点の光。
「なんやろ?」。
「あ、ローソンや!」。
久々に文明に触れた気がする。
「ヤック…デカルチャー…」。
「とりあえず休憩しよ…」。

つづく

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