(532)ロードバイクに乗って淡路島を走る~暗い…寒い…~

淡路市、午前5時台。
暗闇の中で光を放つ建物は…ローソン。
「寒くてたまらん…。中で休憩しよ」と立ち寄った。
雑誌コーナーをうろうろしてからトイレを借り、「眠気覚ましになりそうやな」と、ついでにガムを買う。

暗くて周りが見えないが、おそらく丘の上か山の中腹にある店舗。
「前にもここに寄ったな」。
外に出て、ふと思い出した。

あれは10年近く前だ。
ロードバイクに乗る少し前、まだクロスバイクに乗っていた頃、何かの連休を利用し初めて淡路島を走った。
「アワイチ?余裕、余裕」と。
当時の俺は、自転車関連で痛い目に合った経験が無かったため、「距離150㎞?ペダル踏んだらいくらでも走れるわ」となめきった姿勢。
それから時間を掛けて、登りや暑さ、寒さ、暗さ、雨に痛め付けられ、ロングライドに対して慎重になった。
ただ、今思うと、怖いもの無しだった当時の方が、サイクリングを楽しんでいた気がする。

ガムを口に含み、サドルに跨がる。
サイコンに目をやると、まだ20㎞程度しか走っていない。
「あと130㎞もあるんかよ…」。
「寒いし早く帰りたい…」(3回目)。
少し溜め息をついた後、俺はクランクを回し始めた。

暗くて周りは見えないが、急に脚が楽になったので「おそらく下りやな」。
ブレーキレバーを軽く引き、ゆっくりと下って再び平坦路へ。
どうやら小さな町に入ったようだ。
が、やはり暗さのせいで辺りが見えず、暗闇の中でただ脚を回しているだけ。
景色らしい景色などロクに眺めることもできず、「わざわざ淡路島まで来た意味あるんか?」。
自然とそう思った。

さほど多くない信号に引っ掛かり、人も車も見掛けないが一応停止。
待っている間、暇潰しに景色の写真を撮ってみたものの、アルバムを確認するとただ黒いだけの画像。
躊躇無く削除していると信号が青になり、またクランクを回す。

「それにしても、何時になったら明るくなるねん?」。
明るくなれば気温も上がり、寒さにも暗さにも悩まされずにすむ。
しかし、それが何時になるかわからないため、ゴールが見えない辛さを感じた。
「あぁ、早く帰りたい…」(4回目)。

岩屋をスタートしてから1時間半、苦痛の連続だ。
心の底から湧き出る「来るんじゃなかった」という感情。
そして、「今回は寒さと暗さか…」。
ビワイチでは怪我と雨、岡山へ走った時は灼熱地獄。
和歌山へ走った時も突然の大雨で言葉を失った。
姫路の時は、珍しく雪が降りやがった。
冷静になって考えてみると、行く先々で痛い目に合っている気がする。
ただ、にもかかわらず「また走ろう」という気持ちになるのは何故か。
我ながら不思議。

脚を止め、ガムを噛みながらそんなことを考えていると、東の空が少し明るくなっていた。

つづく

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