(538)ロードバイクに乗って淡路島を走る~おまじない~

溜め息が出そうだ。
ローソンでの休憩を終え、福良に続く道を走り始めると、急に道幅が狭くなり交通量も増える。
「ついに不幸な時間帯に突入したか…」。
通勤、通学時間と重なってしまい、思うように走れない。
「Nさん(50代 男性 淡路島まで俺を車に乗せてくれた人 釣り人)と絡むと、出発が早すぎて絶対このパターンにはまるよな…」。
文句を言ってても仕方が無いので、無心にクランクを回そうとしたが、「ちょっと怖いな…」。
「車を運転してる人から見て、俺って迷惑やろし」。
そう思い、歩道に逃げれば、チャリ通の中学生とすれ違う。
「おいおい、歩道も道幅が狭いねん。並走するのはやめてくれよ…」。

車道があり歩道。
それを取り囲むように店舗や住宅があり、その裏は田んぼか畑だろう。
さほど遠くない距離に山も見える。
既に緑豊かな環境。
にも関わらず、「おい、歩道の脇の花壇、いるか?」。
「更に歩道が狭くなって、走りにくくてしゃーないんやけど」。

わざわざ淡路島まで来たのに、イライラしながらサイクリング…は嫌だ。
なるべく快適な環境で走り、楽しみたい。
と言うわけで、「側道、あれへんか?」とGoogleマップを開くと…あった。

田畑を横目で見ながら、少しずつスピードを上げていく。
車は走っていない。
また、人もおらず道を独占した気分。
側道を選択したのは正しかった。
周りを気にせず、走りに集中。
時速が30㎞を越えた辺りから爽快感を覚え、「これやねん。これ、これ」。
脚を回しながら独り言を呟く。

眠気や暗さ、寒さに渋滞。
色々と苦しんだが、やっと淡路島に来た意味がわかった気がする。
と、先の方にトラック。
路上に駐車されている。
「多分、工場があるんやなぁ」。
通り過ぎる際、作業服を着た人たちが輪になっているのを見て、「朝礼してんかな?平日の朝っぱらから自転車に乗って遊んで、なんかすみません」。
俺は少し後ろめたい気分になった。

ぽつぽつと住宅が建ち並び、そして小学校。
狭い路地から通学中の子供が飛び出してくる可能性を考えて徐行する。
我が儘に走れる区間はもう終わり…だが、正直、あまりがっかりはしなかった。
それよりも、「ちょっとは距離を稼げて有り難いねぇ」だ。
また、短い区間でも充実感に満たされた。
自分ではわからないが、きっと俺の顔はほころんでいたと思う。

徐行しつつ小さな町の中を走る。
と、田舎ののんびりした雰囲気のせいだろうか。
また眠くなってきた。
一度立ち止まり、ボトルの水を手のひらに注ぎ、それで顔を洗う。
「こんなんで眠気覚ましになるか?」。
自分でやっておきながら疑問を抱く。
しかし、俺なりのおまじないなのだ。

ちなみに、おまじないの効果は余裕で0。
「あぁ、眠い…。早く帰りたいわ…」(183回目)。

つづく

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