(541)ロードバイクに乗って淡路島を走る~福良~

淡路島南部の港、福良にたどり着いた。
「道の駅 福良」のサイクルラックにサドルを引っ掛け、その場にしゃがみこむ。
「あぁ…。眠たいわぁ…」。
一応、想定していたコースの半分(ショートカットしているが)まで進み、気が緩んだせいか、眠気が猛烈に押し寄せてきた。
フラフラしつつも片手でサイクルラックを掴み、もう片方の手でシューズの裏にクリートカバーを付ける。
「はぁ…。缶コーヒー飲も」。
カッチャカッチャ、カッチャカッチャ…。
うつむきながら自販機に向けて歩く。

3時間ほど前に「今、僕は淡路島を走っているけど、暗いし寒いし眠たくて悲惨です」とツイートした際、Sさんという方から返信頂いた「温かいコーヒーでも飲まれてはいかが」という言葉が心にも頭にも残り、「はい、そうします」。
缶コーヒーを口に含んで、ゆっくり喉に流し込んだ。
プラシーボ効果なのか、「あれ?一瞬で目が覚めたような気がするわ!」。

花壇の脇に腰掛け、これからのスケジュールを考える。
本来なら、スタート地点の北端から東側の海沿いを進み、淡路島を綺麗な形で1周する予定だったが、途中で道を間違えて内陸部を走ることになった。
そして今、俺は南側の港、福良にいる。
ここから海沿いの道を西へ進むと、確か、山がひとつ。
そいつを越えれば多少のアップダウンはあるが、西側の海を横目に北上して、スタート地点の岩屋に到着。
カンパーイ!

「ま、道を間違えたせいで、走行距離が想定より短くなるけどええやろ」。
「もう、取り返しがつけへんしな」。
そう判断し、さっそく西に向けて走り出そうとした。
ただ、もうちょっとゆっくりしたい気もする。
「あ、そうそう」。
スマートフォンを手に取り、「海沿いの道を走るだけなのにルートを間違いました。私はアホです」みたいなことをツイート。
後に、Yさんから「単純な道でも間違うことはありますよ!1周、頑張って!」と心温まる返信を頂いたが、またもやルートを間違うことになる。
すまん。

スマホの画面を見続けていると、また眠くなってきた。
「眠気覚ましに、また顔を洗おか」。
カッチャカッチャ、カッチャカッチャ…。
トイレに行き洗面台に進むと、禿げ頭のお爺さんが鏡の前に立っている。
俺は隣の洗面台で蛇口をひねろうとした時、お爺さんがハンドソープを手のひらにプッシュ。
それを顔に、そして頭に塗り始めた。
「マジ?」。
なかなかのインパクトを受け、それはそれで眠気覚ましになった気がする。

「失礼だから、あまり観察してはいけない。じろじろ見てはいけない」と自分に指示を送り、俺は顔を洗った。
が、「あかんわ。この爺さんが気になって仕方が無いわ」。
そんな気持ちを抑え、顔を洗うことにただただ集中する俺。
しかし、「前髪の境界線が普通の人とは違うから、これはこれでアリなんか?」。
邪心を振り払うことが出来ず、俺は蛇口を閉めて爺さんを観察した。
まぁ、だからと言って、学ぶことなど何も無かったわけだが。

サイクルラックに戻り、サドルを降ろそうとした瞬間、「おい、ちょっと待てよ」。
アワイチの度に何度か寄った福良。
今さら特別な場所とも思えない。
が、今回はただの通過地点という気にもならない。
たどり着いくまで、妙に苦労したからだろうか。
「せっかくやから、あと少しのんびりしよか」。
ベンチに座って道の駅の施設や海を見ていると、またまた眠くなり、自然にうなだれた。
やはり、睡眠時間が2時間未満は厳しい…。

つづく

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