(543)ロードバイクに乗って淡路島を走る~10月28日水曜日~

28号線から別れ、淡路サンセットラインを北へ進み、そして徐々に西側へ、海沿いのルートを目指す。
ちなみに、読者のあなたは「サンセットライン」という名前について、「妙に格好いいよなぁ」。
そんな印象を受けたかも知れないが、海が見えるまでは、ただの田舎の道だ。

以前、この道を走った時は交通量がそこそこあったと記憶しているが、「今日はスッカスカやなぁ」。
真横を通り過ぎる車が少ないのは、本当に助かる。
車におびえながら走っても、楽しくないからね。
他に注意が必要なのは、路面の状態。
天気が良く、乾いているため、雨の中走ったビワイチのようにスリップして転倒…の可能性は無い。
ただ、車道には何が落ちているかわからないので、前傾姿勢で路面を確認しながら進む。

いくら脚を回しても道の両サイドには田畑が連なり、「さぁさぁ、盛り上がってまいりましたねえー」という気分にはなれない。
ただただ淡々とサンセットラインを駆ける。
と、対向車線にロードバイク乗りが見えた。
「うぉ!」。
本来なら右手を挙げて挨拶したいところだが、俺はあたふたし、とりあえず会釈。
「うっわぁ、めっちゃ動揺したわぁ…」だ。
と言うのも、彼は、この日初めて目にしたのだ。
ロード乗りを。

10月28日水曜日。
平日の朝っぱらからロードに乗って淡路島を走っている人は少ない。
まぁ、当たり前だ。

我がサイクリングチームのチームメイトAは、ビルメンテナンスの仕事をしているため、今頃、パソコンに向き合って設計書を書いているのだろうか。
または、ビルの管理組合に説明会を開き、熱弁を振るっている頃だろうか。
チームメイトBはイレギュラーな勤務形態なので、今、働いているのかも知れないし、寝ているかも知れない。
本来なら、一緒に淡路島で充実した時間を共有する関係だが、贅沢なことに俺ひとりでクランクを回している。

大学時代の友人Sは、今、この時間、何をしているのか?
彼の仕事は鞄の営業。
京都駅から電車に乗り、パンフレットを抱えて神戸や大阪の小売店を回っている頃だろうか。
中学からの友人Hは、飲食店経営。
夕方からの開店に向けて、海老やら魚を仕入れに市場に向かっている頃だろうか。

頭に浮かんだ友人たちとは違い、俺は仕事を休み、淡路島の景色を目にしながらひたすら脚を回している。
と、自然に「ははっ。我ながら、ええ身分やで」。
そう、俺はいい身分だ。
たまたま休みが取りやすい時期だったこともあり、余裕で休んで朝から好きなことをしている。
にも関わらず…だ。
「寒いとか暗い、眠いと文句ばっかり言ってるのはおかしいんじゃないか?」。
そんな疑問が湧き、「苦痛も含めて楽しもうじゃないか」と自分に言い聞かせ、充実感に満たされつつ必死にクランクを回した。
10分、15分は。

「眠い…。早く帰りたい…」(470回目)。

つづく

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