(545)ロードバイクに乗って淡路島を走る~慶野松原とその後~

淡路島の北側、淡路SAからスタートして6時間経過。
風や登りよりも眠気と戦い続ける。

目をこすりながらクランクを回し、左手に松原(大量に生えた松で構成された林)。
「おぉ、ここまで進んだか」。
慶野松原だ。
数年前に一度立ち寄ったが、ビンディングシューズでは歩きにくく、あまり良い印象は残っていない。
が、「この裏には海やな」。
もうすぐ海岸沿いの道を進むのだ。
そう思うと、少し脚の回転が速くなった。

快晴。
俺の経験上、淡路島の西側は交通量も信号も少ない。
「フフッ…。本気を出す環境が整ったぜ」。
出来る限りの高速で走り、それをどれだけ維持できるか試してみたい。
ハンドルを握る手に自然と力が入った。
「ダメダメ。リラックス、リラックス」と自分に言い聞かせる。

自分の中でスイッチが入り、全力で進み始め、そしてすぐに「あかんわ。また眠くなってきた」。
停止。
松の木にロードバイクを立て掛け、うずくまりながら瞑想に入った。
5分…10分…。
たったそれだけの時間でも、まぶたを閉じることによって生き返った気がする。

「慶野松原まで来た…ということは、ゴールまで残り40㎞ぐらいか」。
大した根拠は無かったが、後になって考えてみると、当たらずとも遠からずだった。
まぁ、40㎞など大した距離ではない。
多めに見積もっても2時間。
たった2時間ほどでゴールし、淡路SAのベンチでゆっくりしながらNさん(50代 男性 車で俺を迎えに来てくれる人)を待とう。
俺は余裕をかましてペダルにシューズを乗せた。
カチッ。

ゴー…ゴー…ゴーゴー。
周りが静かなせいか、Racing Zero Niteの奏でる音がよく聞こえ、とても心地好い。
道の両サイドには、名産の玉ねぎの販売店。
イカナゴもあったな。
心情として「買って帰りたいわぁ」だが、ロードバイクで走っていると荷物になり負担になる。
スルー。

「さぁ、もうすぐか?」。
「もうすぐ海か?」。
クランクを回せば回すほど海に近付く。
早く海岸沿いの道を走りたい。
「残り100m?200m?」。
そう思うと、そわそわしてきた。
「早く、早く。次のカーブを曲がったら海?」。
更にそわそわしつつ思い出す。
数年前、クソ暑い中、岡山に向けて走った日のことを。
確か、相生から赤穂の間にある峠がつづら折りで、「次のカーブを曲がれば頂上…のはず。そして…下り」と祈りながらもがいた。
その期待は何度も裏切られたが、「淡路島、お前は違うよな」とまた祈り、ブレーキレバーを指を掛けてカーブを曲がる。
と、やっと見えた。

つづく

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