(548)ロードバイクに乗って淡路島を走る~眠気と刺激~

相変わらず、左手に海。
同じ景色の中を走り続けると、退屈な気分になり…更に眠くなり…。
「何か刺激が欲しいなぁ」と思いつつ、目をこすりながらクランクを回す。
「あかんわ」。
「あかんわ、あかんわ」。
「不潔な手、グローブで目をこすってたら、めばちこ(ものもらい)になるわ」。
最近は減ったが、経験上、俺は疲れている時に目をこするとめばちこになる。
会う人会う人に「目、どうしたん?」と聞かれる鬱陶しさを、この歳になって経験するのは嫌だ。
「両手は常にハンドル」。
「両手は常にハンドルだよ。krmくん」。
自分にそう言い聞かせて走ったところ、ちょっとした坂が見えてきた。
「そんな刺激はいらんって…」。

ゴールに設定した淡路島の北、淡路SAまで1時間か1時間半ぐらいで着くだろう。
「もう、ゴールしたようなもんやんけ」。
そう思うと気が緩み、これまで以上にペースが落ちた。
「あかんわ。何か刺激が欲しいよなぁ」。
本来ならサイクリングの喜びを感じながら淡路島を走るはずなのに、今の俺は惰性で脚を回しているだけ。
「あかんわ…」。
と、「何やあれ!?」。

右手に天守閣が見えた。
城好きの俺としては、否応なしに胸が高鳴る。
「間近で見たい」。
自然に脚が回りだし、手は自然に下ハンへ。
が、走りながら「こんなところにあったっけ?城?」。
「え、まさか…淡路城?」。
「騙された気分やわ…」。

淡路城は、「○○の合戦があった」とか「淡路島を統治した××氏の居城」といった歴史は無い。
飽くまで城の形をしているだけで、個人が経営する美術館や庭園があるそうだ。
しかも、今現在においては閉園していると何かで目にした気がする。

「また騙されたわ」。
「今回で3回目か4回目やで…」。
天守閣に対し反応する癖は仕方が無いとして、学習能力の無い自分に嫌悪感を抱いた。
「俺、ほんまアホやで」。
うなだれながら路面に目を向ける。
この時、時速は7㎞とか8㎞だったかと思う。
だらだらと脚を回し、だらだらと進んだ。

何の気無しにサイコンに見ると、「何や、まだこんな時間か」。
設定をミスり2時間遅れている時間表示。
それを頭の中で正常な時間に補正しても、「Nさん(50代 男性)が車で迎えに来るまで余裕あるやん」。
とりあえず、どこかで休憩しよう。
寝よう。

おそらく、日頃の行いの良さのおかげだろう。
右手に見える。
「助かった…」と心の底から思った。
ローソンの壁にロードを立て掛け、灰皿の横で俺はしゃがみこむ。
10分でいいから、目を閉じていたかった。

つづく

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