(554)ロードバイクに乗って淡路島を走る~今度こそ本当に、ゴールがすぐそこにある~

「今度こそ…」。
「今度こそ、ゴールまであと僅か…」。
本来なら曲がるべきセブンイレブン前の交差点。
アホで寝ぼけた俺は、そこをうっかり通り過ぎてしまい、不本意ながらやっと引き返してきた。
「ハァハァ…ハァ…、無駄に走ってもうたな…」。
「10㎞ぐらいかな…。無駄に走ったの」。
「ハァハァ…、もっと早く気付けよ…」。

このままNさん(50代 男性 車で俺を送り迎えしてくれる人)との待ち合わせ場所、淡路SAに向かおう…としたが、「ハァハァ…、いや…、酒買っていこう」。
この後、Nさんが迎えに来てくれるまで、俺は2時間ほどひとりで待たなければならない。
暇になるのは目に見えている。
と言うわけで、淡路SAのベンチに座って、景色を眺めながらひとり飲み会を開くのだ。
俺は車の免許を持っていないため運転はしない(できない)。
少々飲んでも許される(だろう)。

セブンイレブンの酒売場を物色。
思わず日本酒を選びそうになったが、「あかん。ボロボロになってまうわ」。
日本酒には、何度も痛い目に合っている。
賢明な俺は自制心が働き、ペットボトルの焼酎を2つとスルメを買った。
さぁ、これから淡路SAまでしばらく登りが続く。
ビンディングシューズをカチッ。

淡路SAに繋がる登りは、傾斜も距離も拷問レベルではない。
ただ、淡路島に来るたびにいつも感じるのだが、ある程度走った後に待ち受けているこの坂には、地味にダメージを負わされる。
「これで最後や」。
「あと数百mってとこやろう」。
「ここまで100㎞以上走ってるんや。余裕、余裕」。
自分自身にそう語り掛け、クランクを回す。

左手に淡路SAの観覧車が見えた。
もう、無理に強がりを言わなくても、現実として、本当にゴールが近いのだ。
気持ちに余裕が生まれ、歩道に上がってゆっくりゆっくり進む。
頭の中で、5万人の阪神ファンが叫ぶ「あとひとり」「あとひとり」、「あと1球」コールが鳴り響いた。

少し前の方に、淡路SA(下り)と一般道を結ぶ通路の入口が見える。
「あぁ、やっとやで…」。
左足をクリートから外し、ロードバイクから降りる体勢に。
「ハァ…、しばらくはサドルに股がりたくないわ…」と独り言を言った後、俺は地面に左足をつけた。
「疲れたー」。
サドルから降りて軽くハンドルに手を掛けながら歩く。

通路の入口に向かうと、手前に駐輪場。
何台かの原付やママチャリが止められており、ひとりの女性が目に入った。
30代のお母さんだろうか。
ママチャリの鍵を開けている。
「淡路SAの店で働いてる人か?」。
「それとも、地元の買い物客やろか?」。
ふとそう思ったが、どちらにしろ俺には関係無い。
いや、関係はあった。
後々、大いに反省することになる。

つづく

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