(556)ロードバイクに乗って淡路島を走る~「諸事情」という都合の良い言葉~

国土交通省に謝罪し(心の中で)、自分のアホさ加減を情けなく感じた俺。
淡路SA(下り)のベンチに横たわり、眠りに落ちそうになったその時、背中でスマートフォンのバイブが振動した。
「何や?」と確認すると、Nさん(50代 男性)からのメール。
「少し遅れていますが、16時過ぎには車で迎えに行きます」とのこと。
画面左上の時刻表示にも目をやると、「もう15時かぁ。今から1時間ちょっと寝たところで、今度は起きるのが辛くなるよなぁ」。
寝るのを諦め、上体を起こす。

ベンチに座りぼんやりしていると、練り天の売店が視界に入った。
「あれ、旨いねんなぁ…」。
淡路島名物玉葱の練り天や、じゃがバターの練り天といった変わり種もある。
正直な気持ちとして、食べたい。
ただ、西宮(俺が住む町)に帰ってから、またNさんと待ち合わせ飲みに行く予定が入っている。
「あかん。ここで腹を膨らますのは、ちょっと良くないよなぁ」。
頭ではわかっているのだが、自然に立ち上がり、何かに導かれるように売店へ向かった。

ベンチに戻り、練り天を頬張る。
「旨いわぁ」。
「淡路島に来た!って感じするわぁ」。
満たされた気分になり、またベンチに横たわる。
スマートフォンをいじりながら、だらだらとNさんが迎えに来るのを待とう。

「さぁて、卑猥な画像を収集しましょうか。60GB分ぐらい」と思い、スマホの電源キーを押す。
と、twitterの通知。
「あ、Yさんやぁ」。
俺の無価値なtweetに対し、よく返信をくれるYさん。
淡路島を走っている俺に、励ましの言葉を届けてくれたのだろう。
有り難い。
「なになに。『もうじき一周ですか!?』と」。
「ひ…」。

10月28日水曜日。
俺はこの日、淡路島を走ったが一周はしていない。
眠気や疲労のせいで頭がぼんやりし、道を間違えショートカット。
途中からは、「できるだけ一周に近いルートで走ろう」という気持ちも薄らぎ、さらにショートカット。
大雑把ではあるが、まともなアワイチのルートを記号で表現した場合、○(←まる)になる。
が、実際に俺が走ったルートは、♤(←スペード)。
淡路島の南端にはたどり着いたが、南東部と南西部はスルーしている。
「これを『一周』と言うには無理があるよな…」。

考えた末、「嘘は良くない」。
正直に「一周はしていません」と返事すべきだ。
ただ、その理由、わざわざ淡路島まで来て一周していない理由をどう説明すればよいか。
頭を抱える俺。

「どうたらこうたらで前日に飲みに行って、寝不足、体調不良でなんとかかんとかで道を間違え、ショートカットして、またまたどうしたこうした…」と言い訳をダラダラ言うのは嫌だ。
自己嫌悪に陥ってしまう。
そこでだ。
都合の良い言葉があった。
「諸事情」だ。

「『諸事情』によりショートカットしたので、正確には一周ではないんですよね」とYさんに返信。
「よし…」。
一仕事終えた気分になる。
と、またYさんから返信が。

「多少ショートカットしても一周は一周だがら、完走ですよ」。
Yさんの優しい言葉は嬉しい。
が、引っ掛かる。
アワイチをまともに走ると、距離として150㎞。
この日、俺が走ったのは、曲がるべき交差点をスルーして無駄に走った分を含めても120㎞。
30㎞の差がある。
「『多少』なんやろか?30㎞は…」。

つづく

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