(557)ロードバイクに乗って淡路島を走る~目を開くと神戸~

淡路SA(下り)で、迎えに来てくれるNさん(50代 男性)を待つ。
ベンチで横になって寝ようにも、約束の時間までゆっくりできるほどの時間は無く、寝るに寝れない。
「はぁ、退屈やわ」。
こういう時は、明石海峡大橋を目で楽しみながら、ひとつポエムでも書こう。
「うふっ」。
といった趣味など俺には微塵も無く、ただただぼんやり景色を眺めた。

「あ、そやそや、忘れてたわ」。
バッグをまさぐりペットボトルの焼酎を取り出す。
「待ち時間、ひとり飲み会をしよう」と、淡路SAの手前にあるセブンイレブンで買っていたのだ。
「よし、スルメをかじりながら焼酎をちびちびいこかぁ」。
「あ…」。
「いや、やめとけ。ただでさえ乗り物酔いするのに(自転車はOK)、酔っ払って車に乗ったらヤバいで」。
自制心が働いた。
まぁ、仕方が無いので、引き続きぼんやりと景色を眺める。

寝ることもできず、酔っ払うこともできず、なかなか退屈な時間を過ごしていると、駐車場で誰かが俺に手を振っている。
「何や?」。
俺は視力が悪いので、目を凝らして見ると、男性。
将棋の駒のような輪郭。
「あ、Nさんや!」。

「お疲れ様です」。
「お疲れ様です」。
「遅くなってすみません」。
「いえいえ」。
ロードバイクを押してNさんの車に近付く。
「はぁ。俺、やっと帰るんやわぁ…」。

ロードを逆さにした後、車のトランクに積み、俺は助手席に座る。
そして、瞬間的に寝るスイッチが入った。
が、ダメだ。
俺と同じように、Nさんも疲れている(朝っぱらから鯛釣りをして)。
運転するNさんを無視し、ひとりで眠ることに抵抗を感じる。

車は走り出し、すぐに明石海峡大橋を渡った。
「今日はよく釣れましたか?真鯛」。
「チヌやフグは釣れたんですが、真鯛はちょっと」。
「で、釣ったチヌとフグはリリースですか?」。
「はい」。
会話をしつつも、俺の頭はグラグラ。
今にも寝てしまいそうだ。
「アワイチはどうでしたか?」。
「いろいろありましてね、諸事情により、綺麗な形で一周はしてないんですよ」。
「距離としてはどれぐらいですか?」。
「125㎞ですね(本当は120㎞ぐらいだが、少し下駄を履かせた)」。
「ほぅ」。

目を開けると、高速から神戸の街並みが見えた。
俺はいつの間にか眠りに落ちていたようだ。
「あぁ、渋滞ですね」。
Nさんと鳴門や淡路島に行った帰りは、いつも渋滞に巻き込まれる。
「はい、進まないですねぇ」。
疲れているのに運転してくれるNさんに感謝しつつも…。

次に目を開けると、どうやら西宮神社(えべっさん)の辺り。
俺はまた眠りに落ちていたようで、本当に申し訳無い気持ちになった。

つづく

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする