(558)ロードバイクに乗って淡路島を走る~西宮に帰り、その後~

日帰りの淡路島旅行だったが、14時間ぶりに帰った我が家を懐かしく感じる。
また、散らかり具合が心地良い。
適用にジャージを脱ぎ捨て、布団の上でゴロゴロし、「一生このままでいたい」と思うが、そういうわけにもいかない。
淡路島まで俺を車で送り、迎えに来てくれたNさん(50代 男性)と飲みに行く約束があるのだ。
風呂に入って軽く汗を流し(淡路島において、さほど汗をかかなかったが)、リフレッシュしてから家を出た。

目的の店は、家から歩いて10分ほど。
ただ、無駄に長く家でゴロゴロしていたため、走らなければ遅刻してしまう。
「朝から淡路島で120㎞走って、家に帰ってからもダッシュかよ…」。
うんざりしつつ、阪神電車の高架沿いを駆け抜けた。

信号待ちの間、Googleマップを確認して「もう少しや…」。
薄暗い住宅街をクネクネと進み、待ち合わせの時間ギリギリに到着…したのだが、店の前にNさんがいない。
「Nさん、遅刻?」。
「必死こいて走ってきた意味…、あれへん…」。
肩を落とす俺。

「自分は既に店の前にいます。Nさんは今どちらですか?」とショートメールを送信したタイミングで、「お疲れ様です」。
振り返ると、ママチャリに跨ったNさん。
俺が遅かったため(遅刻はしていないが)、暇潰しにひとりで辺りをうろついていたらしい。
「じゃあ、とりあえず入りましょうか」。
引き戸をガラガラガラ。

訪れた店は焼鳥屋。
と言っても、串に刺した焼鳥を提供してくれる店ではなく、注文した部位を石板で自分好みに焼くスタイル。
これまで、何度か大食いで早食いの知り合いに連れてきてもらった。
が、食べる量もペースも違うため、いつも味わって食べることができない。
まぁ、奢ってもらっている立場の俺が文句を言えるわけもなく、知り合いのペースに合わせたが、「今日こそは…」。
今日こそは、Nさんとゆっくり、適度な量を味わって食べるのだ。

座敷に案内され、メニューに目を通す。
「いらっしゃいませ。ドリンクは何にしますか?」。
「生で」。
「あ、俺も生で」。
「あと、盛り合わせもお願いします」。

まずは生ビール。
そしてしばらく待つと、鶏肉の五種盛りが運ばれた。
乾杯し、石板に鶏肉を乗せて焼けるのを待つ。
と、Nさんの口から「それにしてもすごいですね。125㎞も走るなんて」。
「いえいえ、大したことないですよ(実際に走ったのは120㎞やけど…)」。
「やっぱりアワイチって大変ですか?」。
「まぁ、余裕っすね(実際には淡路島を一周してへんけど…)」。
「景色、よかったでしょ?」。
「最高でしたね(ショートカットしたせいで、見ていない景色もたくさんあるけど…)」。
焼き上がった鶏肉を口に含み、「もう淡路島の話はやめて…」と念じる。

「釣りの方はどうでした?朝、海の上ってめっちゃめちゃ寒かったでしょう?」。
話題を無理矢理変えると、Nさんは乗ってきた。
「寒かったですね。渡船に乗る前に船頭さんと話したんですけどね、この温度ならこういう具合でなんとかかんとかで、どうたらこうたらで」。
ビール片手に、この日の釣りについて語るNさん。
俺は「耐えた…」と思った。

料理を一通り堪能し、適度に酔い、「そろそろ行きましょかぁ」。
会計を終え、店を出る。
Nさんはもう1軒寄りたそうにしていたが、俺は朝から寝不足の状態で淡路島を走り、既に疲れ果てている。
「すみません。今日はお疲れ様でした」。
頭を下げて、俺はその場を立ち去った。

玄関を開けると、左手の靴箱に立て掛けられたロードバイク。
「ちょっと汚れてるし、フレーム、拭いとこかぁ」。
一瞬そう思ったが、「やっぱり明日でええわ」。
布団の上に寝転がり、目を閉じる。
こうして、俺の10月28日は終わった。

余談だが、3日ほど経った日の夕方、近所をジョギングしていた時のこと。
信号待ちの間、スマートフォンを手に取ってログを確認していると、「あら?メールが入ってるわ。誰?」。
みんなで集まってサイクリングする機会が滅多に無い、我がサイクリングチームのBさんからだった。
意味不明なアクシデントに見舞われる体質で、会うたびに遅刻するBさん。
遅刻するたびに意味不明な言い訳を繰り返し、飲むたびにしつこく鬱陶しいトークで人を不愉快にさせるBさん。
「何の用やろ?訳の分からんこと、言ってくんなよ」と思いながら、文面に目をやる。

「こんにちは。淡路島を走ったそうで、お疲れ様でした」と。
続けて、「ゆっくりして体を労わって下さいね」と。
俺は「既にゆっくりしたよ!淡路島に行って帰って来たの、3日前の話やで」と思いながら「わかりました」と返信。
すると、またBさんから「では、おやすみなさい」と。
まだ夕方の6時前だ。
「寝るかよ!」と思った。

信号が青に変わり、軽く走りながら考える。
「この人は、一体何が言いたかったんやろう?」。
「こっちの時系列まで狂いそうになるわ」。
「ほんまに、俺、この人よりもカナブンとかの方が意思の疎通図りやすい気がするわぁ」。

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