(567)ロードバイクに乗って地蔵寺、そして大日寺へ。-7

山に囲まれた大日寺。
前回の記事に書いた通り、ここにたどり着くまで、俺は悲惨な傾斜を想像しまくった。
汗まみれになって「頼むから俺を殺してくれ」と心の中で叫ぶ俺を、かなりリアルに想像しまくった。
が、何のことはない。
余裕で到着。

お遍路にもコロナの影響があるのか、辺りを見回しても人影が見えない。
し~ん。
もう一度辺りを見回した後、お寺の手前にある駐車場へ。
そして、駐車場の一角に設置された、こじんまりとした駐輪場にロードバイクを残し、「さぁ、参りましょうか」。
静けさを感じながら、山門に足を進める。

と、「人がおる!」。
前から白衣を纏った女性。
遍路笠を被り、手には金剛杖。
はっきりと顔は見えなかったが、30代か40代だろう。
華奢な体でうつむきながら歩いてくる。
「こんにちは」。
俺の方から挨拶すると、小声で「こんにちは」。
会釈も返された。
「あの人、歩いて八十八ヶ所を巡礼するん大変やろなぁ」と思いながら後ろ姿を眺めていると、彼女は駐車場に止められた軽自動車へ乗り込む。
そして、静寂の中、ブーンという音が鳴り響いた。

山門をくぐると、小さい子を含む家族連れが視界に入った。
子供は何かわめいていたが、特に騒がしく感じない。
山に囲まれたこのお寺の雰囲気がそうさせているのだろうか。
厳粛と言うか、神聖な空気がここにあった。

カッカッカッカッ…。
ビンディングシューズで境内をうろつく。
と、違う。
何か違和感を覚える。
何となくだが、他のお寺とは色が違う。
「ロードに乗ってお遍路の予行演習をしよう」でいくつかのお寺を巡ったが、色で例えると緑や茶色という印象。
しかし、大日寺は白。
何かが違う。
後日、大日寺で撮った写真を確認したところ、他のお寺と違い、地面に砂利が敷き詰められているではないか。
「あ、だから白の印象が残ったんか」。
思わず、膝をパンと叩いてしまったね。

10分ほどして駐輪場に戻り、「さぁ、そろそろ鳴門の渡船乗り場に戻ろうか」。
目的地に設定していた地蔵寺と大日寺は訪れた。
後は帰るだけ。
Nさん(50代 男性 鳴門までの同行者)が真鯛釣りを終えるまで、いつも通り福丸水産で天ぷら定食を食いながらビールを飲んで待てばいい。
ひとり飲み会だ。 「さぁ、帰ろう」。

緩やかな坂を下っていると、左手に四阿(あずまや)。
「別に疲れてへんけど、時間もあるし休憩しとこか」。
ベンチに座り、辺りを見渡す。
作業着でビニールハウスに入る人が見えた。

つづく

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