(594)ロードバイクに乗って川西方面へ-7

川西池田駅の北側ロータリーに設置された多田満仲(源満仲)の像。
感無量の面持ちで眺めていたが、「俺、後ろ(背中)から観てるやんけ」。
ハンドルを軽く押し、ビンディングシューズをカチャカチャと鳴らしながら、満仲像の正面に回る。

満仲が股がる馬は前足を上げ、躍動感に溢れている。
また、左右の後ろ足の太腿の間に何か見える。
「あ、その部分まで像に反映したんや…」と、妙に感心。

視線を上げる。
左手に弓を持つ満仲。
鎧を身にまとい、兜のてっぺんには「何やろ?人相の悪いトカゲか?」とかなんとか思いながらも、「めちゃめちゃかっこええやんけ!」。
満仲は、まるで岸部一徳のように生気を感じられない顔立ちだが、全体的には躍動感と風格を漂わせる。
心の底から「素敵…」。

ロードバイクをそこら辺に立て掛け、一歩…二歩…。
少しずつ移動し、アングルを変えては満仲像を観て楽しむ。
「あ、忘れてたわ」。
バッグポケットからスマートフォンを取り出して写真を撮って、また少しずつ移動して写真を撮る。

満仲像は、俺にとってあまりに魅力的すぎた。
どのアングルから観ても、またどのアングルから写真を撮っても、「絵になるよなぁ」。
心が満たされまくった。
が、一歩引いて満仲像周辺の景色に目を向けたところ、ぽつぽつと通行人はいるが、満仲像には誰ひとり見向きもしないではないか。
「あかんわ。この街は…」。
「満仲ブームが来てへんわ」。
本音として「お話にならないね」。
そう思いつつ、俺はまたアングルを変えて写真を撮った。
「だんだん楽しなってきたで!」。

満仲ブームが訪れてない退廃的な空気の中、異常な満足感に浸った俺は、無性に腹が減った。
「駅前やしコンビニぐらいあるやろ。唐揚げ食いたいな」と思い、辺りを見渡す。
しかし、コンビニなど見当たらない(いや、セブンイレブンがあった。後で知った)。

まぁ、食い物はある。
家に帰ってからビールでも飲みながら食おうと思っていた、「農家のおにぎり屋」で買ったおにぎりがある。
担いでいたジムバッグからおにぎりの入ったパックを取り出し、「奥三田米の塩にぎり」を手に取る。
「ジーク・ジオン」。
ささやかな気持ちを満仲に捧げた後、俺はかぶりついた。
感想としては、閉店少し前の時間帯に買ったからなのだろう。
汗を掻いていると言うか、ほどよくべったりとしていると言うか。
いや、別に米自体への不満は無い。
米自体は美味い。
が、「もうちょい塩が欲しいわ」。
満仲の顔を見詰めながら、俺はそう思った。

「さてと」。
ここでひとつ考えなくてはならない。
どのルートで帰るか…だ。
まぁ、来た道を引き返せばいいだけの話。
しかし、何台も連なる車の列の後ろで信号を待ち、進み出したと思えばすぐに停止。
「あの鬱陶しさを、また感じるんは嫌やわぁ」。

別のルートを考えよう。
なるべくなら、車も走っていない上に信号も無い。
そんなルートが理想的だ。
ならば、武庫川サイクリングロードを絡めたルートにしよう。
武庫川サイクリングロードに出るには、宝塚に出なければならない。
「こっから宝塚まで、どう行ったらええんや?」とGoogle Mapを確認。
「何や。目の前の道を西に進んだらええだけやんけ」。
家まで少し遠回りにはなるが、イライラしながらクランクを回すよりはずっといい(と判断)。
「さよなら、満仲」。
俺はトップチューブを跨いだ。

つづく

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