(596)ロードバイクに乗って川西方面へ-9

川西池田より宝塚に向けて、溜め息を吐きつつちんたらと歩道を走る。
柄にもなく最速で走ろうとし、赤信号に引っ掛かりまくったことで精神的に疲れた。
死にたい。

「あ」。
前に目をやると、どことなく見覚えのあるマンションが視界に入った。
「何階建てや?えらい高いマンションやな」。
「ちょっと待てよ。あれはもしかして…」。
普段、武庫川サイクリングロードを走っている時に見えるマンションかも知れない。
ならば、もう宝塚駅が近いはず。
宝塚市役所も武庫川サイクリングロードも。

立ち止まり、ジャージのバックポケットからスマートフォンを取り出す。
「久々にYouTubeで『愛の貧乏脱出大作戦』を観よう。たこ焼き屋の回が見ものやな」ではなく、Google Mapを開いて現在地を確認。
武庫川サイクリングロードの出入口にあたる、宝塚市役所までのルートを頭に入れて「ほな、行こか」。

俺の家は、西宮市でも南東部。
北に上がればすぐに宝塚市なのだが、宝塚で飲みに行ったり買い物したり…といった経験は少ない。
まぁ、武庫川サイクリングロードを走ることで、頻繁に宝塚を訪れている。
が、サイクリングロードから出ないため、宝塚の景色をなんとなく記号のように感じていた。
しかし…だ。
この時、不思議と山にも建物にも親近感を覚え、「帰ってきたなぁ」という気分になった。

たかが35㎞~40㎞のライドだが、あまり馴染みの無い川西市へ走ったせいなのか。
または、信号待ちを繰り返し、実際の距離以上に長く感じたからだろうか。
宝塚の見慣れた景色に触れることで、心が和らぎ、急に腹が減った。

帰ってビールを飲みながら食おうと思い、川西能勢口の「農家のおにぎり屋」で買ったおにぎり。
もともと3つあったが、1つは川西池田駅の多田満仲像の前で食った。
残り2つのうち、牛佃煮を選択。
具が少ないのか、鼻炎のせいで味覚もおかしくなっているせいか、「思ったほどパンチの効いたおにぎりじゃないよな」。
一口目でそんな印象を受けたが、とにかく腹を満たしたい。
町中でおにぎりにかぶりつく。
人目など気にしていられない。
ちなみに、宝塚市民が俺に気付き、「あのお方は、まさか…画伯では?」。
「画伯!画伯!」と俺を追い掛ける展開にはならなかった。
と、俺はパソコンに向かい↑を書き、そして読み返し、率直に「しょーもな」と思った。

宝塚新大橋。
武庫川サイクリングロードを走ると、いつも折り返し地点で目にする橋。
何百回も見ているが、渡るのは2回目か3回目。
「立派そうに見えて、せっまい橋やなぁ」。 しばらくぼんやり眺めた後、俺はクランクを回した。

しょーもない話は、あと1回つづく。

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