(598)福島の551蓬莱へロードバイクに乗って走る-1

コロナ騒動により、誰もが不自由な毎日を送っている。
当然、俺もその1人だが、俺個人として大ダメージをくらったことがひとつ。
それは、以前記事にも書いたが、甲子園口にある(あった)馴染みのカレーうどん屋「まんてん」が閉店したこと。
辛いものが苦手な俺でも耐えられる辛さで、抜群の旨味を感じさせてくれた。
あの替えが効かない名店ぶっ潰れ、俺は悲しみに暮れる日々を…。

ではなく、以来、俺なりに外食する際の優先順位を脳内で定めた。
知り合いが経営する店には、テイクアウトも含め積極的に伺う。
また、人間関係など無くても、単純に味が好きな店は積極的に伺いたい。
まぁ、俺が千円や二千円使ったところで大してプラスにはならない…のは承知しているが、気持ちとして何となく。

「今日はどこで買って帰ろうか?」。
そんなことを考えながら、アンダーウェアに袖を通す。
武庫川サイクリングロードを走るなら、甲子園口のケバブの店「BREAK TIME」か、「しげちゃんのからあげ」。
小松の「ポテカラ屋」もいい。
ここはポテトサラダと唐揚げが一押しの店だが、唐揚げよりも弁当のだしごはんが美味い。
唐揚げを少しかじり、だしごはんを頬張り、残った唐揚げはビールと一緒に。
「うん、いいねぇ」。

ジャケットを羽織り、散らかった部屋からグローブを探しつつ考える。
「既に頭の中はポテカラ屋…だが、ちょっと待てよ」。
サイクリングロードを走るのも飽きてきた。
「たまには、大阪まで走ろか」とも思う。
大阪で持ち帰りなら、「551蓬莱」。
豚まんを買って帰り、ビールと一緒に…もいい。

大阪市内で生まれ育った俺にとって、蓬莱の豚まんは何年経っても変わらない、そして飽きない旨さを感じる。
あれは子供の頃のこと。
親がパチンコを打ちに難波へ行くたびに、豚まんを土産に帰って来た。
辛子を付けて豚まんを頬張る父親に対し、「辛くないんかな?」と不審に思いながら、俺はノーマルで食べていたが、今では俺も40を過ぎ、豚まんと辛子の相性を理解している。
と、思い出に浸りながらビンディングシューズのBOAダイヤルを回し、「うん、豚まん食いたいな」。

カスクを頭に乗せ、「どこの蓬莱で買い物するか?」を考える。
いちいち難波まで出るのは面倒だ。
かと言って、西宮市内や隣の尼崎市にある蓬莱は駅ナカ。
駅の外にロードバイクを停めると、盗難の恐れがある。
なるべくなら、道沿いでテイクアウト用の窓口がある店がいい。
「なら、福島(大阪市福島区)の蓬莱やな」。

ロードを担いで玄関を出る。
「まぁまぁ寒いで、おい」。
マンションの階段を降りて、サドルに股がりちんたらと走り始める。
「どのルートで福島まで出よかぁ」と考えながら。

俺が住む西宮市の南部から大阪方面へは、ふたつのルートがある。
ひとつは43号線。
信号は少ないがトラックが飛ばしまくる怖い道。
却下。
もうひとつは2号線。
交通量は多いが、路側帯が広いため逃げやすい。
ただ、信号が多く、天敵の阪神バスと遭遇する可能性が高まる。
バスを抜いたり抜かされたり…を繰り返すのは、心地好いとは思えない。

となると、「裏技使おか」。
大阪までたどり着くことはできないが、43号線と2号線の間にある旧国道を選択。
武庫川を渡り、視界の隅には尼崎の下町風情。
脚を回しつつ、小さなお好み焼き屋や飲み屋を目にすると、「旧国道は味があるよなぁ」。

ちなみに、この道は数年前までジョギングコースとして利用していた。
また、今でもロードに乗って尼崎へホルモンを買いに行く際に通るが、ちょっとした違和感を覚える。
「あら?この辺りにお地蔵さんがいてはる祠、あったと思うんやけど…」。
俺は、神社やお寺、お地蔵さんの前を通る際、心の中で会釈する習慣があり、「旧国道のこことここにお地蔵さんがいる」と記憶している。
が、無い。
「俺の記憶違いなんやろか?」。
「お地蔵さんがいなくなることって、あるんか?」。
まぁ、俺の常識では考えられなのだが…、いったい何があったのか推理しつつ、クランクを回した。

つづく

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