(599)福島の551蓬莱へロードバイクに乗って走る-2

大阪の福島へ向かう。
西宮市の家からスタートして旧国道を進み、出屋敷の突き当たりで左に曲がると国道2号。
真っ直ぐ進めば淀川。
橋を渡り、少し走れば551蓬莱がある福島にたどり着く。

2号線の道幅は広いが、交通量が多い。
また、信号も多い。
赤進行で止まるたびに背中に手を回し、ジャージのバックポケットからスマートフォンを取り出す。
ブログに載せるため、写真を撮らなければ。

シャッターボタンを押し、違和感を覚える。
「おかしい…」。
「同じ写真を前にも撮ったような…」。
「うん、この道を走ると、いつも同じ信号の手前で写真撮ってるよな」。
信号待ちの間、俺は考え込んだ。

「あ、そういうことか」。
毎回毎回同じ信号に捕まるのは、おそらく脚力に問題があるのだろう。
もしも俺に脚力があれば、信号待ちの回数が減り、スムーズに流れるように進む。
そして、違う景色を写真に残していたはず。
「ちょっと気合い入れて走ろうか」。
信号が青に変わり、クランクを回す。
と、すぐに赤信号。

信号待ちの間、少し自分の世界に入る。
そう、あれは確か、巨人の江川が語っていた(と思う)。
プロ野球のピッチャーが登板する際、まずは完全試合を目標にし、四死球を与えた場合、次にノーヒットノーランが目標となる。
そして、ヒットを打たれると完封が目標となり、点を取られると完投。
完投が難しくなると、勝ち投手になることを目指す。
まぁ、徐々に目標のハードルを下げていくわけだが、ロードバイクに乗っていると、俺も同じ心境に至る。
走り始めは30㎞巡航を目指すが、スピードが出てきたところで信号待ち…を繰り返すと、「いやいや25㎞でええやろ」となり、途中から「せめて20㎞台はキープしたいです…」となる。
で、最後には「怪我をせずに無事に帰るのが目標」。

赤信号を見詰めつつ、「それでええんちゃうん」と思う。
よくよく考えてみると、俺はプロではない。
また、アマチュアにおいても底辺。
平均時速が1㎞上がったところで心は満たされるが、誰に褒められるわけでもない。
となると、スピードにこだわるよりも怪我をせずに帰る。
それこそが優先順位の最上位なのだ。

「ついに悟りを開いたね」。
ハンドルを握る手に目をやり、独り言を言う。
不思議と気持ちが楽になった。
「うん、事故には気を付けてマイペースに走ろう」。
ゆっくり脚を回す。
と、すぐに赤信号。
頭の血管がぶちギレそうになった。

走って走って走りたおして心肺が死に、脚も死に、「もう進まれへんわ…」なら自分なりに納得できるが、小刻みに設置された信号のために走れないのは納得できない。
また赤信号を見詰めながら、俺はハンドルを強く握った。
イライライライラ…。

つづく

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