(604)千博屋の唐揚げ弁当を目的とした淡路島ライド~ルートを考える~

2月10日。

夕方、仕事の後、蕎麦屋でビールを飲んでいると、Nさん(50代 男性 趣味は釣り)からメールが入った。
「明日(2月11日)の朝4時、krmさんの家へ車で迎えに行きますので」と。
普段走る機会が少ない淡路島へ行けるのは嬉しいが、「朝早いんは嫌やなぁ」と思う。
でも、仕方が無い。
Nさんは早朝から釣りを楽しむ。
俺は彼の車に乗せてもらい、淡路島に連れて行ってもらう、おまけのような立場だ。
文句を言う権利は無い。

「一応教えてもらいたいのですが、淡路島のどこまで行くんですか?」とNさんにメール。
「由良まで行き、由良港で釣りをします」。
由良は、淡路島の南東部。
アワイチを時計回りに進もうとした場合、すぐに南部の山岳コースに入る。
「いきなり登りかよ…」と思う反面、「体力があるうちに登っといた方がええかもな」とも思う。

「で、釣りが終わるのは何時の予定でしょう?」。
「15時です」。
「ちなみに、日の出は何時ぐらいですかね?」。
「7時には明るくなっていると思います」。
グラスにビールを注ぎながら考える。
暗い時間帯に走るのは嫌だ。
おそらく、山の中は真っ暗だろう。
事故に遭うのが怖い。
なら、明るくなっているであろう7時にスタートする…として、Nさんが釣りを終える15時までに、俺は淡路島を1周し、由良へ戻らなくてはならない。
俺の持ち時間は8時間…だが、遅刻しないために7時間で計画を立てよう。

「7時間でアワイチは無理か?」。
自分に問い掛けると、「はい、あなたの脚力では無理ですね」。
となると、1周は断念。
ルートを限定するしかない。
「まぁ、仕方無いな」。
ズルズルと音を立て、ざるそばをすすりながら考える。

が、どうも集中できない。
「何やろ?どっかで聞いた声やな」。
俺が座るカウンター席の2つ隣で、酔っ払いのおっさんが大きな声で店員に絡んでいる。
「面倒くさそうな客やなぁ」。
おっさんに目を向けると、「あ、こいつ知ってるわ」。
以前、俺も絡まれた。
確か、「ワシは若い時に大金を動かしててなぁ」とか、「ワシは苦労した。お前も苦労しろ」と苦労を強要された記憶がある。
「やばいなぁ。鬱陶しいやつがおるでぇ」。
「まだ生きてたんか。面倒くさいなぁ」。 
「とにかく、目を合わしたらあかん」。
下を向いて、音を立てずにざるそばをすする。

集中、集中。
明日のルートを考えよう。
前回、淡路島を走った時は、道を間違え南部の山岳コースをスルーした。
今回はしっかりと押さえておきたい。
ただ、南部を中心に走って7時間…となると、時間が余ってしまう。
どこかに寄り道しなければ。

近くで吠える続けるおっさんの声が耳に入ってくるが、集中、集中。
「寄り道したいところ、あったかな?」。
考える。
「あったわ。千博屋や」。
以前、「淡路島の弁当屋でええとこないかな?」とネットで調べ、気になった店だ。
デカい唐揚げ弁当が評判らしい。
場所は南あわじ市なので、南部を中心に走る俺にとって打ってつけ。

「朝7時にスタートして、山を登った後に千博屋で唐揚げ弁当を買う」。
「ベンチを探してのんびり弁当食ってたら、それなりに時間を潰せるやろ」。
ルートが決まり、気持ちが少し楽になった。
「はぁ」。
目を閉じて、淡路島の景色を思い浮かべる。

「そろそろ帰ろか」。
蕎麦湯を味わい、ショルダーバッグから財布を出そうとした時、「揚げにんにく!」。
おっさんの声がこだました。
「いやなぁ、にんにく食べて精をつけなあかんねん」。
また店員に絡んでいる。
「まぁ、俺には関係無いわ。帰ろ」。
席を立つ。
が、また座る。
「俺も揚げにんにく食っとこか。明日、淡路島を走るんや。精をつけとかなあかん」。

このせいで俺は悪臭を放ち、行き帰りの車でNさんに迷惑を掛けることになる。

つづく

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