(611)千博屋の唐揚げ弁当を目的とした淡路島ライド~下りが怖い~

10時10分。

芝右衛門狸に別れを告げ、ロードバイクを担ぎながら大石段を下りる。
後は来た道を戻り駐車場に出る。
そして、この洲本城が築かれた三熊山を下り、千博屋へ向かう…のだが、ちょっとおかしい。
「ここは、どこや?」。
駐車場に、なかなかたどり着けない。
「けっこう歩いてる気がするんやけど、こんなに距離あったっけ?」。
辺りを見回すと、「え?」。
池や鳥居が視界に入る。
「おいおい、来る時、無かったで」。
どうやら道に迷ったようだ。
またしばらく歩き、なんとか駐車場に戻れたが、随分と遠回りをした気がする。
「うん、これは芝右衛門狸の仕業やな」。

「さてと」。
トップチューブに股がり、Google Mapでルートを調べる。
「とりあえず、現在地はここ…で、西の麓へ向けて下ったらええんか」。
軽くクランクを回すと、すぐに下りが始まった。

サイコンに目をやる。
時速30㎞。
「脚を回さんでも進む進む。めっちゃ楽やわぁ」と余裕をかましていた俺だが、さらにスピードが上がり時速40㎞手前でブレーキレバーを引いた。
「怖いわ」。
一度スピードを落とし、再度加速(と言っても坂を下っているだけ)。
時速35㎞を越えた辺りで、「やっぱり怖いわ」。

時速35㎞以上が怖い。
「これぐらいでびびってて、よくロード乗れるよな」と自分自身に呆れ返ったが、「おい、ちょっと待ってくれよ」とも思った。
俺には俺の言い分があるのだ(誰に対して?)。
脚を回して時速35㎞以上は怖くない。
「今日の俺、冴えてるね」と自然にニヤニヤしてしまう。
が、脚を回さずに時速35㎞以上は怖い。

「何やねん、それ?」。
「どういうことや?」。
自分のことながら不思議に思い、その原因を考えたところ、答えは簡単に出た。
俺は登りが嫌いだ。
目的地まで登りがあれば致し方無く登るが、回避できるなら回避する。
そんな習慣が身についているため、登りに対する経験値が乏しい…と同時に、下りに対する経験値も圧倒的に乏しいようだ。
「ほんま、その通りやわ」。

自分の洞察力に感服しているうちに、三熊山を下り終え、麓に着いた。

10時30分。
またトップチューブに股がりつつ、Google Mapを確認する。
「千博屋は西南の方向。28号線を進めば、近くまでたどり着くみたいやな」。
都合良く、北へ少し進めば28号線に出くわす。
が、西南に向けて裏道をのんびり走るのも悪くない。
いずれは28号線に合流するし、時間には余裕があるのだ。
「こういう機会でも無いと一生訪れることが無い町。その景色を楽しむのも味わい深いやろ」。

ゆっくりとクランクを回す。
「走る車も、歩いている人も少ない」。
こういう機会でも無いと一生訪れることが無い町を走った感想は、以上だ。

つづく

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