(613)千博屋の唐揚げ弁当を目的とした淡路島ライド~到着~

11時10分。

せっせせっせとクランクを回し、28号線を南へ進む。
が、マスクをしているせいなのか、鼻炎のせいなのかわからないが、呼吸困難に。
車道の脇にロードバイクを止め、左足を歩道につけ、顔を空に向けて鼻炎薬を鼻に差す。
「はぁ…はぁ…、死ぬかと思ったわ」。 
しばらく足を止めて呼吸を整えた後、またハンドルを握りクランクを回す。

今回の目的地、千博屋まではもう近い。
俺はこのまま千博屋へ走り、唐揚げ弁当を買うのだ。
「40を過ぎて唐揚げ弁当を買いに走る自分」を、かつての俺は想像もしなかったが、現実として俺は残念な方向に突き進んでいる気がしないでもない。
まぁ、それはそれとして、出発前から悩んでいたことがひとつある。
「どこで唐揚げ弁当を食うか?」という問題。

11時15分。

単純なイメージでは、淡路島は自然豊か。
島全体が公園のように思える。
ただ、どこで弁当を食おうが誰にも迷惑を掛けない…というわけでもない。
仮に、道端で弁当を食っているところを誰かに見られると、普通にアホと思われるだろう。
「それやったら、Nさん(50代 男性 釣り好き)との待ち合わせ場所、由良港まで走ってから食えばええやんけ」。
そう思ったが、千博屋から由良まで約20㎞。
1時間ほどかかる。
「遠いな。弁当、冷めてまうわ」。
ならば、千博屋からなるべく近いところにベンチでもあれば都合がいいのだが、「そんな都合ええ話は無いで」と思いつつ、脚を回しながら道の両サイドをチェックしていると「あるやんけ!」。
一瞬で通り過ぎたので、じっくり確認することはできなかったが、「今、反対車線の脇にベンチあったよな。確かに」。

11時18分。

緩やかな坂を登る。
「前にここを走った時は、通勤通学の時間帯とぶつかって、走ってる自転車も多かったよなぁ」。
「うん、鬱陶しかったわ」。
大した話でもない思い出に浸りながらクランクを回し、登りきったところで脚を止める。
頭からカスクを脱ぎ、指を髪に差し込んで前後に動かす。
まぁ、特に意味は無い。

坂を下りながら、「確か、次の次あたりの交差点を右に曲がらなあかんねんな」。
記憶を辿る。
が、「俺の記憶はあてにならんよな」。
また足を止めて、Google Mapを確認。

11時25分。

交差点を曲がり、ちんたらとクランクを回す。
念願の…というほどの思い入れは無いが(この日、初めて訪れるので)、もうすぐ評判の良い唐揚げ弁当を食べられるのだ。
スピードは上がらないが、テンションは徐々に上がってきた。

11時27分。

千博屋が見えた。
ただ、イメージと違う。
「4階建て?5階建て?ビジネスホテルに見えるんやけど」。
俺は掘っ立て小屋のような弁当屋をイメージしていたのだが、「えらい立派やなぁ」。

サドルを降り、駐車場の隅にロードバイクを立て掛けようとしたところ、1階の入口が視界に入った。
「ここ、ほんまに弁当屋か?レストランっぽいんやけど」。
「葬式の後、火葬場で死体を焼いてる間にみんなで飯食う施設って感じするよな」。
違和感を覚え、ハンドルを押しながら建物の回りをうろつく。
と、弁当専用の入口を発見。

「はぁ、やっと目的地に着いたわ」。
入口の脇にロードを立て掛け、カスクを脱いで、ボトルと共にバッグに詰め込む。
そして頭を左右に振った後、指を髪に差し込んで前後に動かす。
まぁ、特に意味は無い。

つづく

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