(618)千博屋の唐揚げ弁当を目的とした淡路島ライド~ゴール~

13時24分。

左手に海を見ながらクランクを回していると、ぽつぽつと民家や店舗が視界に入った。
Nさん(50代 男性 淡路島へ車で俺を乗せてくれた人)との待ち合わせ場所、由良港は近い。
そして、もうすぐ、50㎞にも満たないライドは終わる。
距離があまりにもしょぼいので、感慨にひたる…といった心境にはならないが、一応、ゴールはゴールだ。
向かい風が心地よく感じられた。

13時33分。

由良港に着く。
フロントライトを外し、ステムからサイコンを外し、ロードバイクを上下逆さまにしてNさんの車のトランクに積む…つもりではいるが、「面倒くさっ」。
走り終えた直後は、動く気になれない。
その場にへたりこんで、ぼけっと港を眺める。

14時6分。

ぼけっと港を眺め続ける。
バッグからのど飴を取り出し、口に含み、「はぁ、のんびりしよ」。
まだ動く気になれない。
バッグからのど飴を取り出す作業すら「めちゃくちゃ面倒くさいやんけ」と感じたぐらいだ。
ロードを車に積める状態にするには、今のテンションでは無理。

桟橋に目をやると、10人近い釣り人たち。
「この人ら、他にすることは無いんか?ずいぶんと呑気なもんやで」と思う。
が、おそらく、桟橋で釣竿を持つ人たちからすると、「こいつ、自転車乗って淡路島をうろうろしてたんか?他にすること無いんか?ずいぶんと呑気なもんやで」だろう。

14時8分。

思い腰を上げる。
ロードを車に積む作業をNさんにお願いするのは筋が通っていない。
俺の手ですべきことだ。

フロントライトとサイコンを外し、「よっこらしょ」と車体を逆さまにする。
「来る時は前輪、後輪を外さんでも積めたけど、一応、前輪ぐらいは外しといた方がええかな?」。
「いやいや、来る時に問題無かったんやから外さんでええやろ」。

これといった重労働をしたわけでもないのに、一仕事終えた気分。
また地面にへたりこんで、ぼけっと港を眺める。
「この人ら、他にすること無いんか?ずいぶんと呑気なもんやで」。
釣り人に目をやり、脳内で無駄口を叩く。
「ほんまに呑気なもんやで。なんか、こっちまで眠たなってきたわ」。
一瞬、まぶたを閉じそうになったが、「あかんわ」。
ロードをNさんの車に積まないといけない。

立ち上がり、トランクを開けようとして気付いた。
「開けられへん…」。
「俺、車の鍵、持ってへんわ」。
いつもNさんの車で遠出すると、現地に着いてからNさんは釣り、俺はロード。
行動が別々になるため、俺はスペアキーを借りていた。
しかし、この日、Nさんはスペアキーを持って来なかった。
「そやそや、思い出したわ」。
車の鍵を借りに、Nさんが釣りをする桟橋に向けて歩く。
カッカッ…カチャカチャ…。
カッカッ…カチャカチャ…。
SPD-SLシューズがうるさい。

つづく

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする