(627)ロードバイクと共に三重県へ行こう~阪神なんば線~

阪神の武庫川駅から電車に乗り、さっと三重県に向かいたい。
津駅でSさん(40代 男性 このブログを読む物好きな人)が俺を待っている。
しかし、面倒なことに、ロードバイクを輪行バッグに収納しなければならない。
「だるっ」。
駅の裏側にある川沿いの遊歩道に移動し、ロードを上下逆さまに引っくり返す。
夏場は蟻が群がる遊歩道。
「おい、蟻。荷物に入ってくんなよ。勘弁してくれよ」と願ったものだが、今の時期は大丈夫。
道の脇にバックパックを置き、輪行バックを広げた。

輪行の経験を何度も積んだおかげだろう。
手際よく収納を終え、輪行バックを担ぐ。
以前は、「重たいわぁ。ストラップが肩に食い込んで痛いわ…」と感じていたが、担ぐ経験も積んだおかげか、痛みを感じない。
ささっと券売機の前に立ち、近鉄の津までの乗車券がいくらかを確認する。
が、遠すぎて路線図には記載が無い。
これから乗る阪神電車は、近鉄の難波駅に乗り入れしているので、「乗車券も買えるやろ」と思っていたが、奈良駅ぐらいまでしか無理のようだ。
「しゃあないなぁ」と改札で確認したところ、「現地で乗り越し精算して下さい」と。
払えるものは先に払っておきたいが、とりあえず難波駅までの乗車券を買って改札をくぐった。
輪行バッグを担ぎ、ビンディングシューズで階段を上がり、長い通路を歩く。
カツカツカツ…。

武庫川の上を跨ぐように設置されたホームは、見晴らしが良いし、なかなか個性的だ。
が、雨の日と風が強い日、寒い日はたまったものではない。
電車を待ちながら、普段走っている武庫川サイクリングロードを見下ろしていると、背中のバックポケットから振動を感じた。
「仕事関係のメールは勘弁してくれよ。これから旅に出るってとこやのに…」。
嫌々、スマートフォンに目をやる。
「おう、また飲みに行こうぜ!」という知り合いからのLINEだった。
「うん、とりあえず無視で」。

難波行きの電車に乗り、車両の隅に輪行バッグを置く。
都合良く、車内はそれなりに空いていた。
他の乗客の邪魔にならないようで、ほっとする俺。
やがて、電車は尼崎に着き、難波へ向けて走り出す。
十数年前まで「西大阪線」と呼ばれていた路線だ。
尼崎と、大阪の中心部から少し外れた西九条を結ぶ路線。
それが十数年前に延長され、西九条から近鉄難波を結ぶ「阪神なんば線」となった。
おかげで、神戸から奈良まで一本で行けるようになり、「素敵!」。

とまぁ、阪神間に住む俺としては、難波や奈良方面に行きやすくなり、年に数回その利便性の良さを感じた…わけだが、ひとつだけ恨みがある。
阪神なんば線が開通した日、俺は当時勤めていた会社において唯一の遅刻をした。
忘れられない。
3年ほど勤めて、たった1回の遅刻をした日を。

普段、神戸の元町と大阪の梅田を繋ぐ「阪神本線」で通勤していた俺は、普段通りに駅で電車を待っていた。
が、「おかしいなぁ。いつもの電車、なかなか来えへんなぁ…。事故か何かで遅れてるんか?」。
阪神なんば線が開通した影響で、本線のダイヤまで変わったことを知ったのは翌日のことだった。

今となっては、辞めた会社での遅刻などどうでもいいが、自分の中で気持ち悪いものが残っている。
「今となっては、どうすることもでけへんけどなぁ」。
扉に寄りかかりつつそんなことを考えていると、電車は難波に着いた。

つづく

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする