(628)ロードバイクと共に三重県へ行こう~難波駅~

9時44分、阪神武庫川駅から乗った電車が近鉄の難波駅に着いた。
輪行バッグを担いでホームに降りる。
その場でぼんやり突っ立っていれば、予約した特急が10時に入線するが、いやいやいやいや。
ぼんやりしてる場合ではない。
特急に乗る前に、駅弁売場で買い物をしたい。
特急の中で駅弁を食い、旅行気分を満喫したい。
カッカッカッ…。
俺はSPD-SLシューズで階段を駆け上がった。

陳列された駅弁を一通りチェックし、「やっぱり買うんやめとこか…」。
別に金が無いというわけではない。
朝からがっつり食う習慣が無い俺にとって、駅弁はボリューム的にハードな気がした(最初からわかってるやろ?)。
ただ、津まで何も食べずに1時間22分も過ごすのは少し寂しい気もする(どっちやねん?)。

駅弁売場の前で悩む。
特急が入線するまで、あと10分。
10分以内に決断を下さなければ。
徐々に気持ちが焦ってきた。
唇を軽く引っ張り、「う~ん」と悩んでいる場合ではない。

「どうする…?」。
自分に確認を取りつつ、何気なくレジに目を向ける。
と、レジの隣におにぎりのブースが。
「お~。おにぎりかぁ。これは丁度いい」。
メニューを確認する。
20種類ほどある具材。
「なかなか豊富な品揃えやんけ。選びごたえがあるねぇ」と心の中で小躍りしたが、同時に「やばいな…」。
選択肢が多すぎると、選ぶのに時間を掛けてしまう。

「どの具材を選ぶか?」。
特急が入線するまで、あと7分。
悩んでいる場合ではない。
万が一、予約していた特急に乗り遅れた場合、津駅西口で待ち合わせているSさん(40代 男性 この不人気ブログを読むロード乗り)に何と言えばいいのか?
「Sさん、すみません。待ち合わせ時間の11時22分、津駅に着く特急に乗れませんでした。遅れます。次の特急に乗るので〇〇分に到着する予定です」。
まずはメールで謝り、状況を説明する。
そして、「何おにぎりを選ぶか悩んだせいで、当初予定していた特急に乗れず…。だいたいね、具材が20種類もあれば悩みますよね?普通」と弁明しよう。
まぁ、アホと思われるか。

悩むのはやめよう。
目を閉じて、思い浮かんだ具材で決めよう。
「『鮭』と『そぼろ』。はい、決まった」。
列に並ぶ。
特急が入線するまで、あと6分。

「早く俺の番に回ってくれ…」。
祈りながら列の先頭を見詰める。
注文するお客さんと、対応する店員さん。
このお店、注文を受けてからおにぎりを握るようで、出来立てのおにぎりが提供される。
一瞬、「これはいいサービスやなぁ」と感心したが、「作り置きでも何でもええから早くして…」。
俺には時間が無い。

列が進み、少しずつレジに近づいた。
もうすぐ俺の番だ。
が、前のおばちゃんが長い。
「〇〇とね、〇〇ちょうだい。あと〇〇と…(30秒経過)…〇〇。あ、もうひとつ…(30秒経過)…〇〇もちょうだい」。
俺としては、「レジの前で悩む前に、先に何を買うか決めてから列に並んでやぁ…」。
イライライライラ…、イライライライラ…。
「はよしろや!」。

やっと俺に順番が回った。
「『鮭』と『そぼろ』で」。
20秒ほど待っておにぎりを受け取り、清算を終えると同時にホームへ走る。
「お、赤い電車や」。
足を止め、バックポケットからスマートフォンを取り出す。
そして時計を確認すると、「セーフ…。発車時刻まで、まだ2分ある」。

メタリックな赤の外観が際立つ、特急ひのとり。
俺は鉄道マニアではないが、記念撮影したい衝動に駆られた。
レンズ越しにひのとりと向き合う。
「津までの1時間22分、これは満喫できそうやなぁ」。

つづく

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