(632)ロードバイクと共に三重県へ行こう~ありがとう、高虎!~

津城。
サドルから降り、ビンディングシューズのクリートにカバーをはめる。
「今年初めてやなぁ。こんなに間近で桜を見るのは」。
ぼんやりとそんなことを思いながら、Sさん(40代 男性 このブログを通して知り合った人)の後ろを歩いた。

少し先に休憩所が見える。
「ちょっと休んでいきましょう」とSさん。
石垣にロードバイクを立て掛け、椅子に座ってボトルの水を喉に流す。

ほっと一息ついた後、「あ、そうそう。俺、飯食いますわ」。
特急の中で食おうと難波駅で買ったが、車内では食べられなかった…のくだりをSさんに話しながら、バックパックからおにぎりをひとつ取り出して、そしてかじる。

食う、飲む、食う、飲む…をしばらく繰り返していると、「あの、ちょっと~」。
ママチャリを押して歩く、見知らぬお婆さんが話し掛けてきた。
「この先の狭い道も自転車で行けますかねぇ?」。
「はい、大丈夫です。行けますよ」とSさんが返す。
俺はふたりの会話を聞きながら、内心ドキドキしまくり。
何もお婆さんに萌えたわけではない。
俺の中で、知らない町(特に観光地)で知らない人に親切にしてもらった経験はあるが、知らない人に声を掛けられ、「勘弁してや…」と困った経験もあるからだ。
例えば、観光客に道を聞かれること。
「知らんわ。俺も観光客や。地元の人間ちゃうわ」とは言いにくく、かといって嘘を教えるわけにもいかない。
仕方無く、「いやね、自分はね、実はこの辺りに住んでる人じゃなくてね…、あのね…」。
俺は何も悪いことをしていないのに、何かばつが悪い。
また同じ経験をするのは、なるべく避けたいものですね。

おにぎりをひとつ食べ終え、「行きましょか」。
ハンドルを押しながら歩く。
「この先にはどんな防御施設があるのかなぁ」。
想像しただけで、胸が高鳴ってきた。
が、「何やこれ?ただの公園やんけ!」。
木々に囲まれた広場。
その隅にはいくつかのベンチが置かれ、近所の人だろうか?
おじいさんがぼんやりと座っている。
「ここは本当に城跡なのか?」。
「俺は朝から特急に乗って津まで来たはずやけど、ここは家の近所の公園ちゃうんか?」。
「俺は幻覚でも見てんのか?」。
突っ立ったまま、自問自答を繰り返す。

ロードに乗って武庫川駅まで行き、駅の裏の遊歩道で輪行バッグを広げ、ロードを収納…。
阪神電車に乗り難波まで出て、おにぎりを買って特急に乗車…。
11時22分、津駅に付いて、駅の西口でSさんに会った…。
朝からの出来事を頭の中で思い返し、整理したところ、紛れもなく今の俺は津城にいる…はずだが、視界に広がる景色は近所の公園。
普通の公園。

困惑していると、前を進むSさんが振り返り、「あんなのありますよ」。
「あんなのってどんなの?」と思いつつ、彼が指差す方に目を向ける。
と、築城の名手であり津藩主、藤堂高虎の像。
「うん、ここは近所の公園じゃない。近所の公園にこんな像は無い」。
今、自分のいる場所が津であることを確認でき、ほっとした。
ありがとう、高虎!

つづく

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