(636)ロードバイクと共に三重県へ行こう~カニ歩き~

ローソンで休憩をとる。
トイレを借りた後に水を買い、駐車場でSさん(40代 男性 三重県在住の同行者)と言葉を交わした。
が、内容は忘れた。

サドルに股がり、ハンドルを握る。
「さぁ、行きましょう」と、国道を離れ東に舵を取った。
海沿いの道に向かうためだ。 
国道と海沿いを行ったり来たり。
もし、「また同じルートを走れ」と言われても、「絶対無理やなぁ」と思う。
俺にとって、土地勘がまったく無いルート。
Sさんに誘導され、訳もわからず脚を回す。

「津市から伊勢市までのルートですが、国道をなるべく避けるように走ると、無駄に距離が延びますよ」。
あらかじめ、Sさんからはそう聞いていた。
仰る通り、国道を迂回して海沿いの道に出て、また国道に戻り…を繰り返すことで、「進んだ気がせえへんわぁ」だ。
少し前へ進めば、次にやたらとカニ歩きしているような。
まぁ、「走りにくい国道を避けて下さい。出来るだけ海沿いの道を進むルートでお願いします」。
そうリクエストしたのは俺なので、文句は言えない。

名前の知らない川。
Sさんに続き橋を渡る途中、「ここで記念撮影しとこか」。
スマートフォンで川の写真を1枚。
上手く撮れたかアルバムを確認すると、写真の下に時刻と「松阪市」の表示。
伊勢市に向けて津市から走り始めた50㎞のライド。
とりあえずは、中間地点の松阪までたどり着いたようだ。

田舎道を進むと、またSさんが右折。
国道に戻るのだろう。
土地勘の無い俺は、ただただクランクを回して彼に付いて行く。
サイコンの積算距離を確認し、「残り30㎞も無いみたいやで」と自分に話し掛けるが、ルートを把握していないため、どうも実感が湧かない。
積算距離は順調にカウントアップされていくが、何か機械的で素っ気な無く感じられた。

国道に戻り、信号待ち。
と、歩道橋にぶら下がった案内標識が目に入った。
「ほぉ、伊勢まで24㎞かぁ」。
ゴールまでの距離を明示され、何となく気持ちが安らぐ。

信号が青に変わり、脚を回し始める。
「また真横をびゅんびゅん飛ばす車にびびりながら走らなあかんのかぁ…」。
気分がうんざり…しそうになるタイミングで、前を行くSさんが振り返った。
「ここからは、側道がありますから」。
車道から側道に移り、アップダウン、アップダウン。
橋に出くわすたびに、側道はいきなり残酷な傾斜となる。
俺は登り、そして下り…。
Sさんは馴染みのある道かも知れないが、俺としては手の抜きどころがわからない。
困る。
自分のペースで走るのが難しい。

国道をしばらく進むとSさんが左折。
また海沿いの道に出て、そして国道に戻り、また海…の無限ループに陥るのかと不安を抱いた。
が、「休憩しましょ」とSさん。
ファミリーマートの駐車場の隅にロードバイクを止める。
そして、「松阪まで来たので、もう国道は走りませんよ」。  
もう真横をびゅんびゅん走る車と、ガタガタになった車道の端にびびらなくてもすむのだ。
俺は胸を撫で下ろした後、入店。
アクエリアスを買った。

つづく

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