(637)ロードバイクと共に三重県へ行こう~猫A~

ファミリーマートで休憩を取る。
駐車場の隅で、俺はアクエリアスを飲みながらスマートフォンを凝視。
神宮球場で行われるヤクルトvs阪神が気になって仕方が無い。
Sportsnaviアプリによると、試合開始まであと少し時間がある。
ただ、スタメンが発表されていたので、「今日も佐藤出てますよ」とSさん(40代 男性 三重県在住の同行者)に話し掛けようとしたが、彼は隣にいない。
ファミマに入店し、買い物中だ。

難波駅で買ったおにぎりの残りをバックパックから取り出し、そして頬張る。
と、どこから現れたのか、猫(以下、猫A)が近寄ってきた。
「何や、野良猫か?」。
普段の生活の中で野良猫を見掛ける機会はそれなりにあるが、そのほとんどは、俺を見ると逃げる。
しかし、俺の足元をのんびり通り過ぎる猫Aを観察するに、「こいつは人に慣れてるんかな?」。
そんな気がした。

「おい、どこ行くんや?」。
猫Aに話し掛けようかと思ったが、「通じへんやろなぁ」。
「う~ん、どう接したらええんやろ?」。
少し悩む俺。

俺は、かなり前に犬を飼っていた。
シーズーだ。
確か、11歳から25歳まで(俺が)。
感情表現豊かなのがシーズーの特徴なのか、たまたま飼っていたシーズーの性格かはわからないが、「めちゃめちゃ嬉しい!」を体全体で表現する犬で、また、何か話し掛けても通じているような気もした。
ただ、猫はわからない。
俺には猫の感情がわからない。
「妙にクールな動物」という印象がある。
話し掛けても無視されるだろうし、反応が読めない。

猫Aに目を向けると、「かわいいなぁ」と思う。
また、「やっぱり人に慣れてるんかな?」とも。
Sさんのロードバイクの下で気持ち良さそうに眠っている猫A。
おにぎりを頬張りながら、俺は観察し続けた。

「ここで会ったのも何かの縁かも知れんな」。
おにぎりの真ん中、鮭の部分だけをくり抜き、少し丸めて猫Aの前に放る。
それに反応した猫Aは、一度後退りしてフェンスの中に逃げた後、気配を消すように前進。
そして、小さな口で鮭を食べた。

猫Aは、またSさんのロードの下で眠りにつく。
どういう理屈かはわからないが、よほど居心地がいいのだろう。
と、買い物を終えたSさんが戻ってきた。
「Sさん、猫いますよ」。

Sさんはしゃがみ、買ってきたパンを食べながらも、パンを少し千切って猫Aの近くに放る。
猫Aは後退りした後、また気配を消して前進。
そしてパンを食べ、また後ろに逃げて、またSさんがパンを猫Aに…。
「警戒心強いなぁ。猫Aは。まぁ、そんなことよりも…だ」。
俺はSportsnaviに目を戻し、「ヤクルトの先発、田口をどう打ち崩すかやな」などと考えていると、「お前はパンをもらってるのに、あんまり愛想無いなぁ」 。
猫Aに皮肉を言うSさんの声が聞こえた。

つづく

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