(638)ロードバイクと共に三重県へ行こう~川沿いの道と四阿~

「これから先は、海沿いの道を走って伊勢に入りますので」。
Sさん(40代 男性 三重県在住の同行者)にそう言われ、「走りにくい国道から、やっと解放されたわ…」。
心の底から嬉しい。
電車に乗って三重まで来て、大阪や神戸を走るのと同じ窮屈さなど味わいたくない。
自然に囲まれた走りやすい環境を、俺は求めているのだ。

休憩を終え、ファミリーマートを後にする。
さよなら、猫A。
上ハンを握り、田舎の景色をぼんやり眺めながら、のんびりと脚を回し始めた。

交通量が0に近い車道を進む。
視界に入るのは、田んぼや畑、ぽつぽつと点在する民家。
3mほど前には、シャカシャカとクランクを回すSさん。
「走りやすい環境やでぇ」。
緩い風を浴びながらうっとりしていると、急にSさんが徐行。
「何や?」。

目の前には川が流れている。そして、橋がふたつ。
自動車用の橋と、歩行者、自転車用の橋が別々に架かっている。
Sさんは歩行者の橋を選択し、俺もそれに続いたが、「車なんか全然走ってへんやん」。
ふと、そんなことを思った。

橋を渡り終え、左折。
「ここからは一本道ですよ」とSさん。
辺りを見渡すと、左手に川。
川沿いに道がすーっと続き、その先には海。
「いらっしゃい。思う存分走って下さいよ」。
自然がそう語りかけてくるようだ。

「この先に四阿(あずまや 壁が無く屋根だけある休憩所)がありますんで、自由に走って、そこで待ち合わせましょう」みたいなことをSさんに言われた。
俺は「はい、わかりました」。
ジャージのバックポケットからスマートフォンを取り出し、景色を写真に収める。

さて。
あなたが今読んでいるブログは、どうしょうもない不人気ブログだ。
が、書く側の俺はそれなりに真剣に向き合っている面もあり、記事を書くにおいて写真を重要視している。
と言うのも、俺の脳では、旅から帰り数日経つと、いろいろ忘れてしまうことが多い。
しかし、写真に残すことで、その時に何を感じ考えていたのかを思い出す。
わけだが、その写真を元に記事を書き、写真を掲載しても、結果的に不人気ブログから脱却できない。

「やり方を変えて、まだ見出だせていない成功パターンへと導くにはどうすればいいのか?」。
それを考えるのは帰ってから…として、まずは写真を撮り、そして少しクランクを回して、また写真を取った。

海が近くに見える。
1㎞にも満たない川沿いの道を走り終え、海沿いの道を進むと、すぐに四阿があった。
脚を止め辺りを見回すと、何か違和感を覚える。
海、そして四阿と公衆トイレ。
「ポートピア連続殺人事件」のような、どことなく抽象的な風景。
その原因を自分なりに探ったところ、「あ、人気(ひとけ)が無さすぎるからか?」。

Sさんに話し掛ける。
「あの、ここって、いつもこんなに人がいないものなんですか?」。
「はい、 こんなもんですよ」。
「人気が無さすぎるような…」。
「いえ、これが普通です」。
「はぁ…」。

「まぁ、どっちでもええわ」と思いつつ、クリートにカバーを嵌め、俺は公衆トイレへ向かった。

つづく

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