(641)ロードバイクと共に三重県へ行こう~俺の心は神宮へ(2回目)~

伊勢湾沿いの道を進む。
途中、猛烈な向かい風に出くわし、脚を回せば回すほど疲労を感じた。
が、Sさん(40代 男性 三重県在住の同行者)を先頭に我がトレイン(俺とSさんだけ)は突き進む。
ちなみに、俺は常に後ろだ。

「この調子で伊勢まで頼むで」。
「俺を引き続けてくれよ」。
甘えたことを考えていると、Sさんが急に右折。
進路を変えた。
海沿いの道から内陸部へと向かう。
「まさか、あの走りにくい国道に向かうのか?」。
嫌な予感がする。

Sさんが選択したルートは住宅街。
田舎らしい古い家が建ち並ぶ。
後になって聞いたところ、彼も向かい風には嫌気が差し、海沿いの道を放棄したらしい。

家は密集しているが、信号は無い。
どこで誰が飛び出してくるのかわからない。
我々は徐行する。
「この辺りはぽつぽつと田んぼはあるけど、店も少ないし働くところも少ないんやろなぁ」。
「若い人も少なくなって、子供もいなくなる。こういった環境が全国各地にあるんやろなぁ」。
地元の人には失礼な話だが、勝手にそんなことを考えていると、右手に校舎が見えた。
壁は白いが、黒いシミのせいでグレーに見える。
心霊スポットとしてはなかなかの雰囲気。
「校舎に限らず、建物は使わんと傷むもんなんやなぁ」と、ひとりで納得。
「Sさん、廃校がありますね」。
そう話し掛けたところ、「生きてますよ!」と返された。

まぁ、それはそれとして、気になるのは神宮だ。
神宮球場でのヤクルトvs阪神戦。
阪神ファンの俺としては、走っている場合ではない。
スマートフォンアプリ「Sportsnavi」を起動し、途中経過を確認。
梅野のタイムリーで6-0。
試合は、阪神が優位に進めている。
が、安心はできない。
俺は絶望的に弱い時代からの阪神ファンなので、「阪神に期待すると、最後には自分が傷付く」。
それを痛いほど経験してきた。
「どうせ、今日も最後はひっくり返されるんやろなぁ。期待だけさせやがって…」。
溜め息をついた後、Sさんを追い掛ける。

クランクを回しながらも、「もう、そろそろかなぁ…。逆転されてるんちゃうかな…」。
不安で仕方が無い。
と、前を走るSさんが急に脚を止めた。
「ここ、ピザ屋なんですよ」。
指差す方に目を向けると、何やら古めかしい長屋。
「元々は酒蔵やったんですけど、今はピザ屋になって評判がいい店なんですよ」。
わざわざ伊勢のグルメスポットを教えてもらい有り難いが、俺の口からは「はぁ、そうですか」。
6-0から逆転負けする阪神が目に浮かび、ピザ屋どころの騒ぎではないのだ。
もう、不安で押し潰されそうだ。

つづく

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