(645)ロードバイクと共に三重県へ行こう~伊勢うどんと俺とSさん~

今回の旅に出る前、Sさん(40代 男性 三重県在住の同行者)とメールを繰り返し、スケジュールについて話を詰めた。
その中で、「3月27日、伊勢で宿泊する際にどこかで飲みませんか?」と誘ってもらい、「わかりました。宜しくお願いします」。
気を使ってくれるSさんは、俺の趣味に合わせ焼鳥屋を予約。
ただただ感謝しかない。
が、「せっかくなら伊勢うどんも食べたいなぁ」とも思い、リクエスト。
「わかりました。焼鳥屋の前にうどん屋に立ち寄りましよう」。

Sさんに案内されて、大阪屋食堂に向かう。
「ここです」。
「中が暗いですね」。
扉に手を掛け、開けようとしたがびくともしない。
「閉まってるみたいですねぇ」と俺。
「いやぁ、おかしいですよ。まだ営業しているはずなんですが」。
おそらく、彼は事前に営業時間を調べていたのだろう。
「おかしいですね」とまた言い、スマートフォンで店舗情報を再度確認するSさん。
俺としては残念な気にもなったが、配慮してもらっている立場なので文句など言えない。
「もういいですよ。仕方が無いですよ」と声を掛けた。

「大丈夫です。もう1軒ありますので」とSさん。
「さすが、地元民!よく知ってるわぁ」。
そう感心すると同時に、嫌な記憶が…。
去年も彼のご厚意で夜の伊勢を案内してもらい、飲み食いした。
うどん屋、立ち飲み屋、居酒屋と。
ただ、移動は徒歩。
普段なら大した距離とは感じないが、その日の俺はSPD-SLシューズ。
ペンギン歩きであっちこっち行くには苦痛が伴う。
そして、3月27日。
この日も俺はSPD-SLシューズ…。
スニーカーを持って来ればすむ話だ。
しかし、荷物になるのが嫌なので、この日も俺はSPD-SLシューズ…。

歩き回るのは辛い。
「伊勢うどん」よりも「歩かないこと」の方が優先順位は高い。
しかし、「伊勢うどんを食べたいです」と言い出したのは俺だ。
Sさんはそれに応えようと気を使ってくれている。
「歩くんはきついので、伊勢うどんはもう結構ですよ」とはなかなか言いにくい。
あまりにも失礼だ。
なら、自分の気持ちをオブラートに包んで伝えようとしたが、「歩くんはきついので、伊勢うどんはもう結構ですよ」。
ストレートに言葉を発してしまった。

「すぐ近くに伊勢うどんの店があるので大丈夫ですよ。予約した焼鳥屋も近いので」とSさん。
この「近い」の感覚が、住んでいる地域によって違う気がする。
何か不安だ。
カチャカチャ…カチャカチャ…。
町並みに目を向けつつ、Sさんと並んで歩く。

カチャカチャ…カチャカチャ…。
5分ほど歩き、角を左に曲がると「あそこです」。
伊勢うどん ちとせ。
想像していたより随分と近かった。
歩くのが嫌で「伊勢うどんはもうええわ」と思っていたが、いざ店の前まで来るとテンションが上がる。
念願の伊勢うどん。
1年ぶりに食べられる。

古そうな外観。
歴史を感じさせる、いかにも名店らしい佇まい。
「ノーマルの伊勢うどんもええけど、プラス玉子もええよなぁ」などと考えていると、Sさんが「あれ?おかしいですねぇ」。 
「何が?」と思い、扉の張り紙に目をやる。
「は?17時まで?」。
閉まっていた。

つづく

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする