(657)ロードバイクと共に三重県へ行こう~池の浦シーサイド駅~

干潟を眺め、無言で立ち尽くす俺。
Sさん(40代 男性 三重県在住の同行者)の車で廃駅に案内してもらったが、心霊現象が連発する雰囲気も無ければ、駅舎からして無い(もともと駅舎の無い無人駅)。
あるのは、干潟の片隅に設けられた、電車が止まらないホームのみ。

「こんなもん見せられて、どうせえっちゅーねん」という気分になったが、一応、確認のためSさんに尋ねてみた。
「あの、今はもう利用されていない廃駅の残骸は、これだけなんですかね?」。
「そうですね」。
Sさんが語る。
「以前、ロードバイクに乗ってここを訪れたんですよ。その時、数人の鉄道マニアがカメラを構えていましたよ」。
「はぁ、そうですか」。

「…。」
引き続き、干潟を見詰めて立ち尽くす。
Sさんとの会話は弾まない。
間を持たせようと、「ここって廃駅ではあるけど廃線ではないんですよね?」。
特に興味の無いことを聞いてみる。
「はい、電車は走ってますよ。1時間に1本か2本か知らんけど、一応は走ってますよ」。

と、その時、目の前の線路を電車が駆け抜けた。
「これはシャッターチャンス!」。
間一髪、写真を撮れた。
が、「だから何?」という気がしないでもない。
1時間に1本か2本か知らんけど走る電車の写真に、価値があるのか?
撮影した俺ですらわからない。
また、誰に向けて自慢すればいいのか?
そうだ。
今、この記事を読むあなたに自慢しよう。
俺ってすごいでしょ?↓↓↓

ちなみに、後日、家に帰ってからネットで調べたところ、この期待外れの廃駅は「池の浦シーサイド駅」というらしい。
Sさんの説明通り、海水浴場に行く人のためにできた駅だが、海水浴場は徒歩15分の距離にある(遠いわ!)。
ということは、ホームの近くから見える湿地帯は、海水浴場ではなくただの干潟だったのか。
「なるほど!」。
俺は膝をパンっと叩いた。

廃駅を堪能した後(堪能したか?)、Sさんの車に戻り、浦村の牡蠣小屋へ向かう。
山に囲まれた道を進むと、道の脇には潰れているのか営業しているのかわからない店がぽつぽつ。
少しずつ開けた景色の先に、鳥羽水族館。
去年、Sさんとロードバイクに乗って走った時も感じたが、海が近く、山に囲まれた鳥羽の町並みは綺麗だ。

左手に海岸。
右手に鳥羽駅、そしてスーパー。
車窓の外に目を向けていると、牡蠣食べ放題の浦村に少しずつ近付いていることを実感する。
ただ、それはそれで都合が悪い。
まだ、11時20分だ。
牡蠣食べ放題の予約は12時30分。
早く着きすぎても困る。

特にトイレに行きたいわけでもなかったが、「Sさん、この先に『パールロード最後のコンビニ』とかって謳ってたファミマがありますよね?」。
「はい」。
「トイレを借りたいんで、寄りませんか?」。
「わかりました」。
ハンドルを握り前を向いたままのSさんが、そう答えた。

つづく

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