(658)ロードバイクと共に三重県へ行こう~ハロー~

三重県鳥羽市と志摩市を結ぶパールロード。
去年、Sさん(40代 男性 三重県在住のロード乗り)と一緒に走った際、アップダウンが激しすぎて苦しい思いをした。
まぁ、それはそれとして、ロード乗りにとって有り難く感じた、「この先パールロード コンビニありません」の看板。
鳥羽から志摩方面に向かう、最後のファミリーマート。

「ちょっとトイレに行ってきます」とSさんに伝え、車を降りる。
入店。
そしてトイレに向かったが、使用中。
誰が使用しているの知らないが、なかなか出てこない。
「まぁ、ええか」。
牡蠣小屋で飲むためのタカラカップ(焼酎)とお茶を買って、俺は車に戻った。

「トイレ、使えませんでしたわ」。
Sさんにそう言うと、「それやったら、ちょっと戻りますけど、『ハロー』に行きますか?」。
「ハロー?」。
「さっき前を通り過ぎたハローイオンですよ」。
「は、はい。ハローへお願いします…」。

腹の底から湧き上がる笑い。
心の底から「ヤバい」と思った。
「ハローって…」。
ネーミングが安直すぎて、心に、ツボに突き刺さりまくる。
が、Sさんは不感症なのか。
半笑いでもなく、まるで当たり前のように「ハロー」を口にした。
ということは、Sさんにとって「ハロー」は突っ込む隙も無い、日常的な風景の一部なのだろう。

平然と「ハロー」を口にするSさんに対し、「俺をハメようとしてるんか?」と一瞬思ったが、その疑いは無いようだ。
表情を変えずハンドルを握り、ただ前を向くSさん。
助手席に座る俺も、(必死になって)平然と前を見詰めたが、「ハローって!」。
心の中で、膝をバンバン叩きまくった。

「おもろすぎるやろ。ハローって」。
「ネーミングが安直すぎる。他にもっとマシな名前、あったやろ?」。
ヤバい。
脳がハローに支配されていく。
「この辺に住む人は、『昼過ぎにハローで』とか言って待ち合わせしているのか?」。
そんな余計なことまで想像してしまい、更に笑いが込み上げくる。
ただ、ここで爆笑すると、「何が可笑しいんですか?」とSさんに不審な目で見られるだろう。
我慢だ。
心の中で膝をバンバン叩きつつも、我慢だ。

運転するSさんには、俺の表情は見えない。
目は平静を装っているが、マスクの下は口角が上がりまくり。
「ハローはヤバい。爆笑せえへんためにも、他のことを考えろ」と自分に言い聞かす。
と、車は駐車場に止まり、Sさんが口を開いた。
「着きましたよ。『ハロー』に」。
もう、俺は心の中で、両足でバタバタと床を踏みつけ、重低音ストンピングをしながら膝をバシバシ叩く。

「ちょっとトイレに行ってきます」。
Sさんにそう伝え、小走りでトイレに向かう。
早急に顔を洗いたい。

つづく

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