(660)ロードバイクと共に三重県へ行こう~今回の旅におけるメインイベント?~

アーチ型の真っ白な橋が見える。
「去年のライドであの橋を渡ったなぁ」。
「そうそう、渡ってから牡蠣小屋まできっつい坂を登ったわぁ」。
「うん。なかなかの拷問やった…」。
道路の脇に止めた車の中、回想シーンに浸かっていると、「ちょっと調べたいことがあるので、krmさんは外に出て散歩でもして下さい」。
運転席のSさん(40代 男性 三重県在住 同行者)の声で、我に返った。

ドアを開ける。
曇り空の下、ぼんやりと景色を眺めながら深呼吸。
「自然に囲まれた環境で吸う空気は、やっぱり一味違うね」などと感じることもなく、振り返って車内に目を向けると、スマートフォンをいじるSさん。
おそらく、彼は牡蠣小屋のだいたいの位置を理解した上で出発したが、詳細な位置がわからず、今、Googleマップで調べているのだろう。

「まぁ、ええわ」。
他人事のように感じ、言われた通りに散歩でもしようとしたが、「いきなり散歩しろって言われても困るよなぁ」。
立ち止まって、屈伸でもするしかない。

なんとなく屈伸しながら、なんとなく辺りを見回す。
と、バスの待合所。
「おぉ…」。
田舎の時刻表マニアの俺は、吸い寄せられるように歩き始めた。

薄暗く、怪しすぎる待合所。
俺は怖い話が好きなので、失礼ながら「ここで5人は死んでるな」と決め付けた。
勿論、根拠は無い。

時刻表に目をやると、正直言って期待外れ。
俺が求めているのは、ほぼ白紙。
スッカスカの時刻表だ。
しかし、このバス停で見た時刻表は中途半端。
「帰りのバスを逃したら、野宿するしかないやんけ!」。
そう興奮するレベルのスカスカ感は無かった。

溜め息を吐き、待合所に入ってベンチに座ろうとしたが、「虫がおりそうで座るん嫌やな」。
躊躇する俺。
仕方無く、突っ立ったまま待合所の中を見回す。
自衛隊のポスターのみが、妙に存在感を発揮する空間だった。

スマートフォンで時間を確認すると、12時前。
「牡蠣小屋に予約した時間まで、あと30分ほどか」。
今回の旅は、「今年も牡蠣小屋に行きませんか?」とSさんに誘われて始まった。
俺は牡蠣が大好きだし、安い上に心行くまで牡蠣を食えるこの機会は、最高に嬉しい。
12時30分にスタートする牡蠣食べ放題は、今回の旅におけるメインイベントだ。
しかし、気になることがひとつある。
それは、13時00分開始。
神宮球場でのヤクルトvs阪神戦。
嬉しいことに、一昨日、昨日と阪神は連勝しているが、それでもヤクルトの打線を脅威に感じ、心が休まらない。
「プレイボールまで、あと1時間ほどか…」。
選手でもないのに緊張する俺。

つづく

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