(666)ロードバイクと共に三重県へ行こう~特急を待つ~

鳥羽駅前のロータリーで、車のトランクから(俺の)ロードバイクを(Sさんが)降ろす。
今回の旅において、Sさん(40代 男性 三重県在住)にはスケジュールを立てもらい、道案内に飲み屋と牡蠣小屋の予約、車での送迎など、最初から最後までお世話になった。
「何かと有り難うございました。お疲れ様でした」。
「お疲れ様でした」。
別れを告げる。

雨の中、輪行バッグを担ぎながら駅の入口へと歩く。
「あぁ、もう後は特急に乗って帰るだけやなぁ」。
クリートをカチャカチャ鳴らせつつ、旅の終わりを実感。
少し寂しい気もするが、それはそれとして神宮球場でのヤクルトvs阪神3回戦。
「阪神、リードを守ってるやろか?」。
気になる。

駅の入口、エスカレーターの前で足を止める。
ジャージのバックポケットからスマートフォンを取り出し、野球の途中経過を確認。
「うん、このまま阪神勝ちそうやな」と安心したが、画面左上に表示された時計が目に入り、頭を抱えた。
「予約した特急の時間まで、1時間近くあるやんけ…」。

駅に着いてからバタバタするのが嫌なので、「この時間帯の特急やったら、余裕を持って乗れるやろう」。
そう予想して特急券を予約したが、「1時間!?アホか!?余裕ありすぎるやんけ!」だ。
こんなことなら、駅に着いてバタバタした方がよかった。

辺りを見回すと、俺以外に人はいない。
「誰の迷惑にもなれへんな」。
輪行バックを担ぎ、エスカレーターに乗る。
そして、2階に上がると売店。
土産物屋を兼ねたファミリーマート。
一応、売り場を見て回ったが、「AさんとBさん(サイクリングチームの仲間だが、顔を合わす機会はほぼ無い)に土産はいらんやろ。やっぱり」。
土産はスルーし、特急の中で飲み食いするジュースとお菓子を買って、俺は店を出た。

「忘れかけてたわ。特急券は予約済みやけど、乗車券も買わなあかんわ」。
券売機に向かう俺。
しかし、切符は売っていなかった。
解説すると、この時の乗車駅は近鉄の鳥羽駅。
俺が降りたいのは、阪神の甲子園駅。
近鉄と阪神は、近鉄難波で繋がっている。
俺としては、甲子園までの乗車券を買いたい。
が、売っていない。
心外だ。
「ならば」と、窓口でガツンと言わず普通に伝えたところ、「阪神への乗車券は取り扱っていませんので、近鉄難波までの乗車券を購入して、阪神の降りる駅で乗り越し精算して下さい」と。
「はい、わかりました」。

改札を通り、ホームに降りる。
雨はまだ降り止まない。
ベンチに座って、スマホでDAZN。
ヤクルトvs阪神を観戦しながら特急を待つ。

試合展開としては、阪神リードで終盤を迎え、よほどのことが無い限り阪神が勝つだろう。
一瞬、顔がニヤついたが、旅が終わり、俺は明日から仕事と向き合わなければならないのだ。
「全ての予定を消し去りたいよ」。
そんな気分になった。

つづく

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