(676)アワイチではないが、ロードバイクに乗って淡路島を走る~車の中~

6月17日。
ハンドルに軽く手を添えて、近所の自販機まで歩く。
と、そこにはNさん(50代 男性 趣味は釣り)の車。
「おはようございます」。
「おはようございます」。
Nさんがトランクを開け、俺はロードバイクを上下逆さまにし、そして車に積む。
「では、出発しましょうか」。
「はい」。
助手席に座り、「あぁ、眠たいわぁ」。
淡路島に向けて、車は走り出した。

月に何度か、徳島の鳴門や淡路島の由良へ釣りに行くNさん。
彼に釣りの予定があり、それが俺の都合とタイミングが合えば、俺(とロード)も車に乗せてもらい、現地でお互いに趣味を楽しむ。
いつもなら、Nさんの方から「○○日は仕事休めますか?一緒に××に行きませんか?」と誘ってくれるのだが、今回は俺の方から誘った。
10日ほど前だったか、「しばらくは時間の融通が利くので、淡路島へ釣りに行く機会があれば教えて下さい」。
と、「17日はどうでしょうか?」。
早速、Nさんから返事。
迅速な対応に感謝。

車は東へ進み、見慣れた43号線の景色が流れる。
助手席に座る俺は、目を覚まそうと緑茶をがぶ飲みしつつ、窓を外を眺めた。
「Nさんと遠出する時、こんな明るい時間に出発…は初めてかも知れんな」。
この日は朝の5時に待ち合わせ、我々が住む西宮市から淡路島へ向かったが、行き先が鳴門で、しかもNさんが渡船の予約をしている場合は、朝の2時半出発…というケースもある。
その時「死ぬわ!」と思ったが、5時出発でも十分すぎるほど鬱陶しい。
まぁ、俺の方から誘っておいて、こんなことを言うのもなんだが。

高速に乗り、タワーマンションが視界を横切る。
「もう神戸かぁ」。
緑茶のペットボトルを片手に、窓の外を眺めながらNさんと世間話。
「昨日も釣りに行ったんですよ、鳴門まで」。
「お、釣れましたか?」。
「さっぱりでしたね。釣り仲間が他に2人いたんですが、全員さっぱりでした」。
俺としては、餌代、ガソリン代、高速料金、それぞれいくら掛かったのか、トータルでいくら掛けて坊主だったのか気になる。
しかし、「それを聞くとやらしいな」と自制心が働き、「そうでしたか」と答えた。
まぁ、結果はどうであれ、当事者としては充実した時間を過ごしたのだろう。

明石海峡大橋を渡り、淡路島の北側に着いた。
Nさんが釣りをする由良までは、ここからあと30分ほど掛かる。
その間、運転しない(免許が無い)俺は、助手席でぼんやりと景色を眺めておけばいい。

と、Nさんが「そこ、見て下さい。カラフルな小さい店が何軒もあるでしょう?」。
左手に目をやると、ピンク、イエロー、ブルー…など様々な色の小屋が密集していた。
「何ですか?あれは」。
「淡路シェフガーデンっていう施設で、いろんな飲食店が入ってるんですよ。最近出来たそうです。海岸のテラスで海を見ながらご飯食べられますよ」。
「へぇ。そうなんですか」。
「『龍旗信』も入ってますよ」。
「え!?」。

龍旗信は、大阪に何店舗かあるラーメン屋。
5年ほど前だったか、俺は難波の店に行った。
かなり美味かったが、並ぶのが嫌なので再訪問せず。
「ここの龍旗信も難波みたいに混んでますかねぇ?」。
「どうでしょうね。平日の淡路島だと観光客も少なそうですし、難波ほどではないと思いますけどね」。
車は淡路シェフガーデンを通り過ぎる。
「もし、空いてるんやったら、龍旗信行きたいですわぁ」。

痛風が気になる。
痛風にはなりたくない。
苦しみたくない。
なら、食生活を改善しなければならない。
が、龍旗信の塩ラーメンも気になる。

ひとり悩んでいると、右手に大きな観音像。
高さ100mあるらしく、存在感は抜群。
しかし、なかなか問題のある建造物だ。
40年ほど前に大阪の金持ちが建てた…のはいいが、彼は亡くなり、今は放置状態。
壁が落下するなど危険な存在となってしまい、今月から解体工事が始まる。
「無くなる前に、目に焼き付けとかなあかんなぁ」。
観音像の横を通り過ぎる瞬間、俺はそうを思った。

車は由良へ向けて進む。

つづく

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