(677)アワイチではないが、ロードバイクに乗って淡路島を走る~クーラーボックス~

車は淡路市から洲本市に入り、温泉街を通り抜けて由良へと進む。
窓の外に目を向けると、左手には海。
「もうそろそろ着くなぁ。着いたら、30分か1時間ほど車の中で寝よう」。
「少しでも眠らんと、走る気になれへんわ」。
そんなことを考えながら、緑茶のペットボトルに口を付けた。

「あ、そう言えばね、今回はね…」。
ハンドルを握るNさん(50代 男性 趣味は釣り)が、思い出したように話し始める。
「今日はね、前と同じ由良漁港で釣りますけど、同じ漁港でも前回とは場所が違うんで」。
「どういうことですか?」。
「前の場所はね、今、釣りが禁止になってるんです。なので、ちょっと離れたところに駐車してから釣りますんで」。
「それって、コロナが関係あるんですかね?」。
「そうじゃないですかねぇ」。
まぁ、俺は釣りをしないので「好きなところに駐車して、好きなところで釣ってくれ」だが、よく考えてみると無関係ではない。
「Nさん、前のところって、駐車場のすぐ近くにトイレと自販機がありましたよね?今日、釣るところもありますかね?」。
「う~ん、知らないですねぇ。もし無かったら、由良大橋を渡って、前に利用したトイレと自販機まで行くしかないですね」。
心の底から「勘弁してくれよ…」と思う。

6時45分、由良漁港到着…したが、溜め息。
車の中でゆっくりしようにも、近くにトイレと自販機が無い環境でな長居したくない。
何か不安になる。
かと言って、今すぐロードバイクに乗って走り始める気にもならず、「どうやって時間を潰そうか…?」。

俺が悩んでいる間に、Nさんはトランクから釣り道具を出し、着替え始めた。
車の脇に立ち尽くし、由良漁港の景色を見詰めながら考える。
「寝るんはやめて、Nさんが釣ってるのを10分か20分ほど見学して、それから俺も出発しよかぁ」。

釣り道具を担ぎ、防波堤へ歩くNさん。
彼の後ろ姿を眺めつつ、ふと気付いた。
車の脇にクーラーボックスが残されているではないか。
「なんや。Nさん、忘れてるやん」と思ったが、違う。
荷物が多過ぎて、持てなかったのだろう。
「てことは、また後で取りに戻るんか?面倒くさいことするなぁ」。
「俺に言ってくれたらええのに」。

「Nさーん、Nさーん!これ、俺が持って行きましょうか!?」。
防波堤を歩くNさんに向けて大声を出す。
「お願いしまーす!」。
Nさんからの返事。
「任せなさい」と、右手でクーラーボックスを持ち上げる…と、「ぎゃあ!」。
正直、肩が外れるかと思った。
「え…、中、空っぽちゃうの…?」。
「何が入ってるか知らんけど、めっちゃ重いやんけ…」。
後で聞くと、8㎏~9㎏の荷物が入っていたらしい。

つづく

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする