(142)高松ライド。たまには観光しようかと、帰り道、志度寺に寄る。-2

ベンチに座り、高松城の月見櫓をぼけっと見ながら、「もう、そろそろ鳴門に戻ろうか」と、ペダルにビンディングシューズのクリートをはめた。
高松の街並みを横目に、ゆっくりと走り出す。

ロードバイクに乗るのが趣味になってから、高松には何度も来た。
ただ、ゆっくりと観光を楽しむことができない。
うどんバカ一代に行き、顎が疲れるほどコシが強く、うまいうどんを食べることも、今は無い。
時間には余裕があるのだが、店の前にロードをとめて、目を離すのが怖いからだ。

高松市内は、さすが都会。
交通量が多く、走りにくいが、数本の橋を渡り、屋島が綺麗に見える辺りまで来るとすいすい走れる。
またしばらく走ると、いつも休憩に利用する「道の駅 源平の里 むれ」に辿り着く。
走っていて荷物になるのが嫌なので、ここでは特に大きな買い物はしないが(買っても、すぐに食べれるたこ天1枚)、特産品をなんとなく見て回るのが好きだ。

道の駅の案内板にロードを立て掛け、ヘルメットをハンドルに引っかける。
俺は、しゃがみこんで、ボトルの水を飲みながら、考えた。
「どこか観光地に寄って帰ろうかなぁ」と。
時間には、余裕があるのだ。
むしろ、有り余っている。
ただ、観光地の施設の外にロードを置き去りにするのは、盗難の恐れがあるので困る。
ロードも一緒に入れる観光地。
いい案が出ない。
となると、ぐずぐずしてても仕方がないので、鳴門に戻ることにした。
鳴門で暇潰しをしよう。

のんびりと、ゆっくりとクランクを回し、景色を満喫しながら走っていると、視界の左端に五重塔を捉えた。
何度も走った道なのに、今まで気付かなかったが、かなり近い距離にお寺があるようだ。
「寄ってみよか。でも、盗難されたらなぁ…」
「あ、ロードを押して歩きながら、お寺の中を散策したらええやん!」
俺は、自分が天才かと思った。

志度寺。
大きな草鞋がぶら下がった、立派な門の前で、俺は足を止める。
ロードのトップチューブを右肩にかけつつ、右手で固定しながら、2~3段の階段を上がり、門をくぐると、すぐ左に五重塔が見えた。
さっそく近寄って観覧したが、色々なお寺で塔を見る度に思う。
「中に入りたいなぁ」。
「最上層まで登ってみたいなぁ」。

「他の建築物も見て回ろう」と、ロードを押しながら通路を歩く。
「俺は、きっと、このお寺と何か縁があって訪れたんやろなぁ」と思いながら、草木に囲まれたこの狭い道を歩いていると、緊急事態発生。
青葉の隙間から何かが高速で飛び、俺の目の前を横切った。
「嫌な予感がする…」
間髪を入れずに第二波が押し寄せる。
「やっぱり…」
スズメバチだった。
俺は身の危険を感じ、後退りして門に引き返す。

志度寺。
滞在時間、約5分。

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