(682)アワイチではないが、ロードバイクに乗って淡路島を走る~人間関係が構築される契機~

洲本の温泉街を走り抜ける。 
そして、洲本の市街地に入る…わけだが、俺の予定しているルートでは、市街地をほんの少し横切る感じ。
賑やかな町並みを目にすることは無い。
道を囲むのは、相変わらず自然豊かな景色。
「あれ?さっきも同じ道を走ったような…」と、ちょっとした錯覚を覚えながらも、更に北へ、岩屋へと向かう。

「いや、ちょっと待てよ」。
俺には時間に余裕がある。
由良で釣りをしているNさん(50代 男性)との待ち合わせまで、たっぷりと時間があるのだ。
寄り道をして、適当に時間を潰さなければならない。
「この辺に観光スポットあれへんか?」。
キョロキョロしながらクランク回していると、あった。

大浜公園。
白砂の海岸に、ぼこぼこと松の木が立ち並ぶ。
これまで洲本を走るたび素通りしていたが、この日は「寄ろか」。
サドルから降り、ハンドルに手を掛けて歩く。
視界に入るのは、健康志向であろうジャージを着たおじいさん、おばあさん。
「その自転車、なんぼぐらいするん?」や、「どこから来たん?」などと聞かれることも無く、ただすれ違うだけ。

足を止める。
ロードバイクを松の木に立て掛け、ぼんやりと突っ立ったまま海岸に目を向ける。
「『何て美しい景色なのだろう』と思う自分が好き」といった感覚に陥ることもなく、視線は由良の方へ。
「Nさん(50代 男性)は、希望通りチヌを釣りまくってるんやろか?」。

Nさんとの付き合いが始まったのは、15年以上前。
当時、職場の同僚Aと立ち寄った飲み屋の店長がNさんだった。
大雨の平日。
客は俺と同僚Aのふたり。
職場の愚痴を話しながら適当に飲み食いしていると、箱を持った男(Nさん)が「キャンペーン中なので、クジを1枚ずつどうぞ」。
「任せなさい」。
箱に手を突っ込み、4等だったか5等だったか忘れたが、俺はティッシュか何か貰った。
次に同僚A。
なんと、1等を引き当てた。
「おめでとうございます。10,000円分の商品券です」と店長(Nさん)。

俺と同僚Aは舞い上がった。
「どうしょう?」。
「ビール、飲みまくれるぞ」。
「でも、今日は既にそこそこ飲んだで」。
「じゃあ、1万円分の商品券で酒注文してボトルキープしてもらおうか」。
焼酎だったか日本酒だったか、何かを2本ボトルキープしてもらい、我々は大喜び。
天下を取った気分で飲んでいると、「しまった…。1等は5,000円で、その上の特賞が10,000円やったんや…」。
厨房の奥から店長(Nさん)の声が聞こえた。

ボトルキープしたからには、次の週もその次の週も、その次の次の週も通うしかない…ということで、頻繁に通っているうちに、Nさんと親しくなり、いつの間にかプライベートでの付き合いも始まった。
人間関係がスタートするのは、何が契機になるかわからないものだ。

Nさんの趣味は釣り。
定期的に車を出し、鳴門や淡路島へ釣りに行く。
それが俺の都合に合えば、車にロードを積んでもらい、俺も鳴門や淡路島を走る。
「ふたりで遠出したんは、今回で何回目になるんかなぁ?」。
松の木と白砂を眺めながら、振り替える。
「う~ん、いちいち覚えてへんわぁ」。

ちなみに、後ほどNさんと顔を合わせた際、「チヌは釣れまくりでしたか?」。
「いえ、さっぱりでした…」。

つづく

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