(688)アワイチではないが、ロードバイクに乗って淡路島を走る~世界平和大観音像の写真~

のど飴を舐めながら、28号線を北へ進む。
右手には海が続き、左手には…、「おぉ、見えてきたわ!」。
高さ100mほどの観音像。
「世界平和大観音像」だ。

ネットで「アワイチ」と検索すれば、「ジェノバライン(高速船)に乗って岩屋港に着き、しばらく走ると観音像」などと書かれたブログがいくつもある(と思う)。
まぁ、そのスケールから嫌でも視界に入るため、「あぁ…、俺は今、淡路島を走っているんだ」。
そう実感できるスポットではある。
ただ、わざわざ足を止めてまで眺める人は少ないと思うが。

観音像は、アワイチに挑むロード乗りだけではなく、地元の人たちにも馴染みがあるだろう(親しまれているかは知らんけど)。
それが、先月より解体工事に入った。
所有者が亡くなって以来、放置状態となり、今は老朽化。
危険な建造物になったらしい。
俺としては、今まで見向きもしなかったが、ぶっ壊される前にその姿を目に焼き付け、写真も撮っておきたい。
「近付いてきたな。もう少しや」。
強い日差しを浴びながら、俺はクランクを回し続けた。

観音像を正面から眺める。
首には、コルセットが巻かれているように見えるが、この部分は展望台。
観音像を含む周辺の施設が閉鎖されるまでは、大阪湾を一望できたらしい。
内部には、レストランやオーナー所有の美術品、車が展示されていたようだが、俺は見たことがない。
閉鎖したのが2006年。
当時の俺は、ロードバイクに乗って淡路島を走る身分ではなかった。
激務の日々を送り、鬱に向かって突き進んでいた時期だ。

かつては施設に通じていたであろう車道の脇に、空き地があった。
「ここにロードを止めて、観音像と写真に収めよか」。
ガードレールにロードを立て掛け、スマートファンを構えながら後退りする。
が、観音像がでかすぎて、ロードと一緒に収まってくれない。
「これはあかんなぁ。頭、半分切れてもうたなぁ」。

距離を調整し、アングルを変え、「今のは完璧に撮れたやろ」。
手応えを感じ、写真を確認したところ、「またか…。頭、半分切れてもうた…」。
困った。
工夫が必要のようだ。

スマートフォンを斜めに向け、何故か体まで斜めに傾きつつ写真を撮ろうとした時、ふと気が付いた。
「あ、縦で撮ればええだけの話やんけ」。
とまぁ、無事に撮影を終え、「さぁ、行こか」。
片足を上げ、クリートカバーを外していると、俺のすぐ近くに2台の車が止まった。
車から出てきた3人の男性(おっちゃん)は、観音像に向けてスマートフォンを構え、カシャカシャ…。
彼らを見ていると、「普段は見向きもせえへんかったくせに、解体工事始めるってニュースを見てから、有り難がって写真撮りに来たんか?」と思う。
「あ、俺もか」。

つづく

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