(690)アワイチではないが、ロードバイクに乗って淡路島を走る~缶ビールを飲みたい~

28号線を北へ走る。
視線の先は、岩屋。
「ラストスパートや」。
そう意気込んでクランクを回していると、右手に青や黄色、オレンジの掘っ立て小屋が見えた。
集合型レストラン施設「淡路シェフガーデン」だ。
13時に、ここでNさん(50代 男性 趣味は釣り)と待ち合わせの約束をしている。
ただ、よく考えてみると、淡路シェフガーデンのどこで待ち合わせるか…までは話し合っていなかった。

「まだ30分も余裕あるし、どっかで時間を潰そうか」。
辺りを見回すと、近くにセブンイレブン。
「とりあえず、缶ビールでも買って、店の前で飲みながら時間を潰したらええな」。
「うん、どうせ、もう走らんし」。
「ラーメン食って、車の中で寝るだけやわ」。

セブンイレブンの広い駐車場を進み、その先に設置されたバリカーにロードバイクを立て掛ける。
ジムバッグ(ブランド物。Continental)からOTTO LOCKを取り出し、フレーム、ホイールをバリカーに巻き付ける。
そして、フロントライトとカスク、ボトルをバッグに入れ、クリートにカバーを付け、「ほんま、面倒くさいわ!」だ。
ロードに乗っていると、たかがコンビニに入るだけでしなければならないことが多い。
いちいち多い。
この日、俺はうっかりしていたためグローブを忘れたが、本来からグローブを外してポケットに入れる…という作業も発生する。
クソ暑い上に疲れている時は、コンビニに入る前にうんざりしてしまう。

とまぁ、それはそれとして、入店しようとした時、背中に振動。
「何や?」。
ジャージのバックポケットに手を回し、スマートフォンを取り出す。
Nさんからのメールだった。
淡路シェフガーデンに着きました…と。

「早いわ」と思う。
缶ビールを買って、ゆっくりと飲んでいる場合ではない。
淡路シェフガーデンに急ごう。
しかし…だ。
入口?
駐車場?
淡路シェフガーデンのどこに行けばよいか分からない。
「メール打つんも面倒やし、電話掛けよか」。
Nさんに発信。
応答は無し。

サドルに股がる。
「とりあえず、入口っぽいところへ行っとけばええやろ」。
走り始めたところで、Nさんから折り返しの電話が入った。
「お疲れ様です」。
「お疲れ様です」。
「あの、自分は淡路シェフガーデンの隣にあるセブンイレブンにいて、そっちに向かってるんですけど、施設のどこに行けばいいですかね?」。
「駐車場の入口に立ってますんで、そこまで」。
「わかりました」。

視力の悪い俺だが、真っ黒に日焼けした男が視界に入った瞬間、「Nさんや」。
認識。
「お疲れ様です」。
「お疲れ様です」。
「ラーメン食べる前にね、まずはロードを車に積ませて下さい」。
「はい」。
ロードを引っくり返して地面に置き、釣り道具を隅に寄せながら、「あー、面倒くさっ!」。

「じゃあ、行きましょうか?」。
「はい」。
カラフルな掘っ立て小屋に向けて歩く。

つづく

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